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知的障害者福祉研究報告書
平成5年度調査報告  〜精神薄弱者福祉研究報告書〜


はじめに

本研究について、平成5年度は、事前調査として日本の実践的な活動家、研究者にご意見をいただき、海外の先駆的事例としては、米国における精神薄弱者福祉に対する先駆的な活動を行う州政府、及び研究者の活動を視察しました。
米国においては、1990年7月に「障害をもつアメリカ人法(ADA)」が制定され、障害者の社会参加に対してさまざまな活動が実践されている状況であり、日本においても、平成5年12月には「障害者基本法」が制定され、21世紀につながる障害者の新しい歴史の一歩となる法律が制定されました。
その法律の理念は、国際障害者年の「完全参加と平等」の考え方から、社会、経済、文化、その他あらゆる分野の活動に参加する機会を与えるものとして、まちづくり、雇用の促進、情報の利用など、新たな計画策定を国に義務づけ、地方自治体に努力規程として求めたものであります。
「ノーマライゼーション」としての思想は、障害者の地域社会における活動の場の実現と、普通に生活する基盤を作ることを求めてきました。
しかしながら、近年の経済的情勢を背景に、高齢化と少子化の進展に伴う福祉社会のあり方そのものに国民の連帯的意識の改革が迫られ、この課題は福祉先進国と言われる国々の共通の課題として位置づけられるものとなっています。
これからの福祉の考え方は、社会的弱者としての福祉ではなく、すべての人々に対して人生の計画において選択的に寄与する福祉が望まれています。精神薄弱者福祉においても同様に、その人生において計画的、選択的なものへと転換する新しい方法を必要としています。
次年度には、事前調査や研究委員会において検討された課題を踏まえ、その具体的な手法の構築を検討していきたいと考えます。

平成6年3月

福祉開発研究所


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