13・6 ヒストグラム
私たちは、よい品質の品物を作るために努力している、しかし同じ工程で同じ設備で同じ材料を使って同じ作業標準によって作っても出来上がる品物の品質、つまり品質特性値にはバラツキが生じる。品質特性、例えば長さ・重さ・時間・温度などを測定してえられるデータの度数は、ある値を中心に最も多く中心から離れるにしたがってその割合はだんだん少なくなるのが普通である。これを品質の集団が「分布」を持っているという、この分布すなわち集団としての品物の性質を知るためには「ヒストグラム」が有効である。
「ヒストグラム」とは「データの存在する範囲をいくつかの区間に分け各区間に入るデータの出現度数をかぞえて度数表を作り、これを図にしたもの」である
。図は方眼紙または適当な用紙のヨコ軸に特性値、タテ軸に度数を目盛り、各区間に属する度数を柱の高さで表す、ヒストグラムは「柱状図」ともいわれ、QC7つ道具のなかでも良く使われる手法である。
品質管理の基本は、品質にバラツキを与える原因をとらえ、これを改善して管理することである。そのためにはまず品質を表す特性値についてその変動の状態を正しくつかむことが必要であるが、この特性値の変動を目に見える形にする技術、それがヒストグラムである。
「ヒストグラムの役割」は次の通りである。
?@分布の状態をみやすくし、分布の姿を目でみることができる。
?Aデータがどんな値を中心に、どんなバラツキをもっているかを知ることができる。
?B分布がどのような形をしているかを知ることができる。
13・6・1 ヒストグラムの見方
ヒストグラムからデータの集団としての情報をうるためには、多少の凸凹は無視して全体の姿に着目するのがよい。
ふつう、次のことについて調べる。
?@分布の中心位置はどこか。
?Aデータのバラツキはどうか。
?B分布の形は右か左に歪んでいないか。
?C分布は平らか、とがっていないか。
?D飛び離れたデータはないか。
?E途中に歯の欠けたようなところはないか。
?Fふた山になっていないか。
?G分布の右か左が絶壁型になっていないか。
?H層別するとどうなるか、その必要性はないか。