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4.2 20分間観測データと連続データの解析結果の比較

 

今回の研究では、連続観測のデータの蓄積が少ないことより、20分観測データを用いた。

次節以下の長周期波の解析を行う際に、20分観測データを用いた結果が、どの程度の長周期まで正しい結果を得ることができるかを検討する必要がある。合田(1986)**によれば、有義波等の代表波高の計算やスペクトル解析においては、100波程度の波形記録がないと統計的に信頼できる結果が得られないとされており、これを20分間観測に当てはめると信頼できる限界周期は12秒となる。

この点について検討するために、波浮の1996年10月のデータについて、20分データと2時間連続観測を用いスペクトル解析を実施し、それぞれ、30〜60秒、60〜300秒、300〜600秒、600秒以上のエネルギーバンドごとの相関解析を行った。

解析結果を図-4-3に示した。

この結果によると、300秒以上のエネルギーバンドに関しては、観測長の影響が出ているが、60〜300秒と30〜60秒のエネルギーバンドに関して、2時間観測と20分間観測の長周期エネルギーは、大きいバラツキは認められるものの両者の回帰直線はほぼ45°の傾きとなり全体として見れば偏りが見られずほぼ等しい値となっている。

従って、これらのエネルギーバンドに対しては、連続データでなく20分間観測データでも、ある程度解析に耐え得る精度が得られているものと考えられる。

 

**合田良実,海岸・港湾調査法,新体系土木工学NO.80,251p,1986年

 

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