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第2章 長周期波に関する最近の研究成果、研究論文の調査

 

ここでは、特に港湾内の船体動揺に与える影響に注目しながら、長周期波に関する最近の研究成果、研究論文を収集し、長周期波に関して得られている最近の知見をとりまとめた。

ここで論文は次の3種類に分けて収集した。

 

?長周期波の観測、解析に関する研究

?長周期波と船体動揺の関連に関する研究

?長周期波の予測に関する研究

 

2.1 長周期波の観測、解析に関する研究

 

港湾で観測される長周期波は、1960〜1980年代は長崎港のあびきに代表される港湾の副振動またはセイシュについてと、沿岸の砕波帯で発生するサーフビート、あるいは沿岸の陸棚に波浪が進入することによって沿岸方向に発達する陸棚波、さらには沿岸において進入波と反射波の重合によって発生する重複波等、各々の波動場の特徴によって使い分けられていた。

合田(1995)1)は国外、国内の長周期波の現地観測事例を以下のようにとりまとめている。

 

007-1.gif

 

合田の分類にはあびきに関する文献が載っていないが、長崎港のあびきについては、赤松(1978)2)が気象庁による検潮記録と気象条件の分析から、あびきの発生原因について詳しい分析をしているが、さらに日比谷・梶浦(1982)3)は、東支那海を東進する気圧変動波を外力として、長崎湾周辺海域の水位変動を長波方程式を数値シミュレーションによって解き、過去の大規模なあびきを再現した。

また新しく掘り割り港湾として整備された仙台新港においても、副振動による荷役障害が発生し大村ら(1981)4)によって現地観測や、Leeの方法に代表される湾水振動に関す

 

 

 

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