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ここで、

「航路によらなければならない。」とは、航路として定めた区間をその方向に沿って航行しなければならないことをいう。ここで、「航路による」とは、航路の出入口から航路に出入すること及び航路の出入口以外の部分において航路内をこれに沿って通航することを含んでおり、航路を斜航し又は横切ることは航路によることとはならない。

2 船舶は、航路内においては、次の場合を除いては、投びょうし、又はえい航している船舶を放してはならないこととなっている(法13条)。

(1) 海難を避けようとするとき。

(2) 運転の自由を失ったとき。

(3) 人命又は急迫した危険のある船舶の救助に従事するとき。

(4) 港長の工事又は作業の許可を受けて工事又は作業するとき。

 

第2節 航法

 

1 航路外から航路に入り、又は航路から航路外に出ようとする船舶は、航路を航行する他の船舶の進路を避けなければならない(航路出入船舶の避航)こととなっており、また船舶は、航路内においては、並列して航行してはならず(並列航路の禁止)、他の船舶と行き会うときは、右側を航行しなければならず(行き会い時右側航行)、また、他の船舶を追い越してはならない(追越し禁止)こととなっている(法14条)。

2 汽船が港の防波堤の入口又は入口附近で他の汽船と出会う虞のあるときは、入航する汽船は、防波堤の外で出航する汽船の進路を避けなければならない(出船優先)こととなっている(法15条)。

3 船舶は、港内及び港の境界附近においては、他の船舶に危険を及ぼさないような速力で航行しなければならず、また、帆船は、港内では、帆を減じ又は引船を用いて航行しなければならないこととなっている(法16条)。

ここで、

「危険を及ぼさないような速力」とは、地形、船型、船の大きさ、船舶のふくそう度等自船及び周囲の状況によって異なり一概に速力の制限を何ノットというように規定することはできない。「危険を及ぼさない」とは、船舶が高速力で航行することにより生じた航走波(進行波)により又は相互作用により、他船が舵をとられたり、又は波浪の衝撃により船体、積荷に損傷を生じ、あるいは船舶の係留索が切断して停泊船舶が流失したり、他船又は岸壁と衝突する等の危険を生ずるおそれのないことのほか、防波堤等の構築物による死角水域を高速で航行したのでは当該高速航行船と見合い関係を生じた他船がその動静を確認することが容易でないため危険を生ぜしめたり、あるいは自船の操縦の自由を失う程度の極端な低速航行することにより他船に不安を与える等の危険も生ぜしめないことが

 

 

 

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