激しく多数の湾入部には小港湾が多く存在しています。下島東岸にある厳原港(重要港湾)および上島東岸の比田勝港(地方港湾)からは博多港、関門港等の間に定期旅客船が運航されています。
(3)日本海の特異現象
イ. 富山湾
*寄り回り波
冬季の風の強い日に、波高3〜5m、周期10〜13秒の高い波が急に起こって、富山湾奥の沿岸に被害を与えることがあります。この高波は海底地形の影響から、沿岸各地で来襲する時間に若干の差が生じ、寄って回ることからこれを「寄り回り波」と言います。
低気圧が日本海北部を西から東に抜け、北海道東方近海で発達した場合に発生することが多い。
すなわち、低気圧の通過後、富山湾は強風の圏外となりますが、北海道東方近海で発達した低気圧とシベリア大陸の高気圧との間に気圧傾度が急しゅんとなって暴風が連吹し、北海道西方海域で激浪が発生します。これがうねりとなって南下して富山湾に到達し、湾内の海底地形の影響を受けて湾奥に近づくにつれ、波高が増大するために起こるものです。この高波は、富山湾沿岸全域に押し寄せるものと、湾内の海谷の影響で氷見、伏木、滑川方面だけに押し寄せるものとがあります。
*蜃気楼
春から初夏にかけての風も弱く波の静かな日の昼下がり、富山湾の水平線上に地上の建物や船などが幻のように浮かんで見えたり、遠くのものが近くに見えたり、あるいは城壁とか龍宮城のように見えたりする特異な現象が現れます。
これは地面や海面付近の気温の上下の分布が激しく変化しているときに起こる光の異常屈折現象のひとつで、富山湾湾奥の魚津・滑川・生地などの沿岸で多く見られ、特に、魚津海岸のものは有名です。
富山湾にこの現象がよく現れるのは、この湾が周囲を高い山に囲まれ穏やかなうえ、この時期に、神通川・常願寺川・黒部川などの河川が日本アルプスの冷たい雪解氷を多量に注ぎ込んで海面を覆うため、海面に接した気温が低くなります。
一方、陸岸では太陽熱のため気温が上がり、海岸近くの海上に低温のレンズ状の空気の塊ができます。物体から反射した光は、自然が創りだしたこの特殊なレンズを透過すると異常な屈折や反射を起こして、前方に変形した幻の像を出現させ、これを蜃気楼現象と言います。
*埋没林(海底林)