日本財団 図書館


パルス繰り返し数が近ければ、渦巻き状の点線となり、パルス繰り返し数が違うと画面上に点々と不規則に現れる雑音となる。いずれにしても、これらの点は一本のスイープの上の一点として光り、エネルギーの蓄積がないので、淡雪のように消えて残像を残さず、それ程重大な障害とはならない。

 

2・7 レーダー・トランスポンダー

 

2・7・1 レーダー・トランスポンダーとは

 

トランスポンダー(Transponder)はTransの変換、Transmitterの送信機、Responderの応答機等を混合した造語で、電波応答機と訳されている。

トランスポンダーとは電波を受信し、直ちに所定の約束に従った電波に変えて送信する手段を備えた装置であるが、山頂やビルの屋上に設置されている通信関係の空中線を含めた中継器も広義のトランスポンダーといえるし、通信衛星も堂々たるトランスポンダーである。しかし、その語意から考えると、どうやら比較的小型で移動性のあるものを指すらしい。したがって、マイクロ波の通信用中継機器をトランスポンダーとはいわないが、通信衛星のその部分(通信衛星は方位追跡用のパイロット電波を発射するものを搭載しているし、通信目的別に制御を行うためのコマンド用テレメーター機器も積んでいるから。)はトランスポンダーと称されている。

ここでは、特にレーダー用のものだけに限定することとする。レーダー・トランスポンダーの一種に灯台やブイに設置する航行援助用のレーダー・ビーコンがあり、別名レーコン(レーダー標識……Radar Beacon…略してRACON)ともいわれている。

また、レーダー・ビーコンの中には、レーマークビーコンと称するものも存在するが、これはレーダーの送信パルスとは無関係(非同期)に発射されており、受信機能がないのでトランスポンダーの範囲には属しない。(レーダーのPPI上には方位を示す“線”が表示されるだけである。)

 

2・7・2 レーコン(RACON)について

 

レーダー・トランスポンダーの歴史は、第二次世界大戦の末期に米軍の航空機に装備された敵・味方識別用のものが最初だといわれている。

戦後は軍用、民間用を問わず、質問/応答コードと複数のモードを設けて航空管制用に広く活用されており、すべての航空機には1,000MHz帯のレーダー・トランスポンダーが搭載されて地上の航空管制用レーダーとの間で交信されている。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION