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国内法規では旅客船及び漁船についてそれぞれ次のとおり定義している。

(1)旅客船

旅客船とは,旅客定員が12人を超える船舶をいう。(船舶安全法第4条第1項第1号)

 

注:旅客船についての定義は,他の海事公法において,その定義を定めていないものについては上記定義{船舶職員法(昭和26年法律第149号)別表,電波法(昭和25年法律第131号)第50条第1項,特に定義を定めているものについても,上記内容を規定している。海上運送法(昭和24年法律第187号)第2条第4項}を使っているが,この定義は,海上における人命の安全のための国際条約と同義である。

(2)漁船

漁船とは,次のいずれかに該当する船舶をいう(船舶安全法施行規則第1条第2項)。

(イ)もっぱら漁ろうに従事する船舶(附属漁船を用いてする漁ろうを含む。)

(ロ)漁ろうに従事する船舶であって,漁獲物の保蔵又は製造の設備を有するもの。

(ハ)もっぱら漁ろう場から漁獲物又はその加工品を運搬する船舶

(ニ)もっぱら漁業に関する試験,調査,指導もしくは練習に従事する船舶又は漁業の取締りに従事する船舶であって,漁ろう設備を有するもの。

 

注:(1)この定義は,海上における人命の安全のための国際条約の定義よりは広くなっている。すなわち,同条約では,「魚類・鯨類,あざらし,せいうち,その他の海洋生物資源を採捕するために使用する船舶」を「漁船」と定義している。これは,同条約においては,その適用を除外する観点から,業態が本質的に運搬具に属さない漁ろう船に限定したものと解されるが,船舶安全法においては,その適用を除外するものではなく,一般商船との間に運用上の差を設けるという観点から,水産国であるわが国の漁船の操業実態と,これに対する保護政策,漁船法の漁船等に留意して,漁ろう船と直接的に関係の深い船舶をも含めることとしている。なお,漁船について,前記条約によって特別に規制する場合は,その適用を条約上の「漁船」に限定している船舶設備規程(昭和9年逓信省令第6号)第112条,船舶防火構造規則(昭和55年運輸省令第11号)第27条の2,漁船特殊規程(昭和9年逓信・農林省令)第47条,船舶救命設備規則(昭和40年運輸省令第36号)第1条第3項,船舶消防設備規則(昭和40年運輸省令第37号)第1条第1項,海上における人命の安全のための国際条約及び満載喫水線に関する国際条約による証書に関する省令(昭和40年運輸省令第39号)第1条第5項,無線従事者操作範囲令(昭和33年政令第306号)第2条第1項。

 

 

 

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