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6. 日本への期待と今後の対応

 

タイ港湾局での調査では、次の要望が出た。

「最新の作業船技術を移転して欲しい。」

(最新の作業船、建設工事、浚渫船の浚渫作業管理、引船等についての新しい技術、並びに最適の作業船を経済的に選定する方法に関する知識が不足しているため。)

また、アユタヤ河川浚渫管理センター長からは、次の意見が出された。

「管径12inで船体のもっと小さな浚渫船が欲しい。」

(Parsak Riverの浚渫工事では現在の浚渫船CHAO TA C.27 and C.29ではまだ大きすぎる。例えば、総体幅6m以下、船高さ3.50m以内といった超小型船が必要。)

「CHAO TA C.27 and C.29のエンジン部品がない。」

 

以上の意見を参考にしながら、タイ国の浚渫船関連の需要動向として、以下のことが言えよう。

 

(1)港湾局が保有する浚渫船には船齢の高いものが多い。いずれ代替建造の要請が出ると思われるが、それらは大型船ではなく、河川や運河の維持浚渫を目的とする比較的小型の浚渫船である。船種によっては現地での建造が可能なため、わが国の競争力は弱いと思われ、これを打開するには、小型で、簡易な構造をもち、耐久性に優れ、しかも経済的なものが要請されよう。現地の作業条件、使用環境、経済力に見合った作業船の開発が必要である。

 

(2)大型浚渫船の需要は数多くないと思われるが、開発途上国の経済力、技術力が今後漸次向上することを考えると、技術移転を条件とした現地建造の可能性について考えることはオプションとして有力である。

 

この分野における協会の今後の活動については以下のように考える。

(1)長期的な視点に立ち今後の技術支援、技術交流のあり方を検討する必要がある。

・相手国関係部局とのチャンネルづくり(国際会議の場等の活用)

・長期的総花的な進め方ではなく、拠点を数カ所に絞り重点的に技術協力行い実績を創る。またその拠点をベースに近隣諸国とネットワークを形成し、2次的な波及効果を期待する。タイ国は近隣諸国の中心国家としての地位を築きつつあり、その意味で拠点国の候補となり得る。

・ニーズの発掘、シーズの育成には現地で活動する人、シルバーパワーの専門家等の協力を得る。

(2)協会の活動を継続して、かつ定期的に広報する。

・作業船に関する海外向け英文の広報資料を作成し配布するなど。

 

 

 

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