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3.4 レムチャバン港

 

(1)港の概要

バンコク港は水深の関係から最近の大型コンテナ船を受け入れることができないため、近隣諸国の港でのトランシップを余儀なくされていた。一方、タイ国の外国貿易は驚くほどの早さで成長したが、その取扱には最新のしかも充実した海上荷役施設を必要としていた。貨物量とりわけコンテナ貨物量が急速に増大し、バンコク港の取扱い得る許容限度を超えていた。そこでこの問題を打開するために新港開発計画が提案され、バンコク市の東部、レムチャバンに新しい商港が建設されることになった。レムチャバンの位置は、新しい工業立地に、また一部工業の移転先として、タイ北部、北東部、さらにはインドシナ方面までを射程に入れた場所として適しているとして選定された。

レムチャバン港の第1期開発計画は1991年に完成している。PATがレムチャバン港全体を管理しているが、港を最大限活用するために、また民間セクターの投資を呼び込み、港湾への参入を促進するために、ターミナルの運営は民間港連会社と契約している。

 

(2)港の位置

レムチャバン港はタイの首都バンコクから約100km離れたchonburi郡に建設された新港である。図3-3にレムチャバンの位置図を、図3-4には港の平面計画図を示す。

港湾区域は1,000ヘクタールである。進入航路の延長は港内部を含めて2,500mある。航路水深は‐14m(MSL)、航路幅は港口において300m、港内で600mである。入港船にはパイロットの乗船が義務づけられている。港口の小高い山の上に船舶航行管制センターVessel Traffic Control Centerが設置されている。

 

(3)取扱貨物量

PATはバンコク港でのコンテナ取扱量を100万TEUを限度と考えており、今後増大する貨物の受入はレムチャバン港としている。同港では、政府のレムチャバン港振興政策もあって港勢は順調に伸びている。1996年の入港船舶隻数をみると、前年より817隻多い2,378隻(52.3%増加)を記録している。また、1996年に同港で扱った輸出入及びトランシップ貨物の量は8.602百万トンで、前年比46.07%(2.713百万トン)の増加となった。全体取扱貨物量の0.729百万TEUはコンテナ貨物であり、対前年度比で44.68%(0.225百万TEU)の増加を記録した。表3-9に入出港船舶数、取扱貨物量、コンテナ取扱量等についてまとめたレムチャバン港の開港から8年間の実績を示す。

 

(4)港湾施設

a. 係留施設

レムチャバン港の係留施設は、浚渫と埋立によって建設された。現在の施設は、第1期港湾開発計画によって1991年に完成したもので、建設費25億バーツを投入し、10バースを建設した。岸壁は櫛形に計画されており、南北両サイドに5バースづつ配置している。表3-10にこれら係留施設の概要を示す。

 

 

 

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