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(2)MAB計画(Man and Biosphere Program)

MAB計画は生物圏における資源の合理的な使用と保全や、世界的規模における人類と自然環境の関係改善の基礎を固めることを目的とした共同研究プログラムである。

MAB計画の統括的なプログラムは、ユネスコの協議会で選出された、34のメンバーからなる国際評議会によって運営され、活動計画は100ヶ国以上の国でMAB国際委員会により推進されている(UNESCO、1998a)。

1971年から1990年代前半に行われた14の研究計画の一つに、自然地域とその地域における遺伝子物質の保全計画があり、ここでは生物圏保護地域(Biosphere Reserves)を国際的に指定して、この地域を保存・研究していくことが目的とされた。このなかで、コアエリア(核・中心となる地域)、緩衝帯、 トランジッションエリア(移行帯)の考え方に基づく管理が提唱されている。

1996年4月までに337地域(85ヶ国)の生物圏保護地域が指定され、今後はネットワークの発展と有効活用が、MAB計画の焦点となる。生物圏保護地域は、適切な境界区分と管理機構を持った、陸域・沿岸域・海洋域などの生態系を含む区域である。ここでは学術的な観測・調査・教育・指導などを行うことにより、地域社会の利益となる天然資源の持続可能な利用と、生態系と生物多様性の保全とが両立されている。それ故、この概念はアジェンダ21や生物多様性条約などの国際協定に関連する計画の実施に際して、重要視されている(UNESCO、1998a)。

現在までに指定された生物圏保護地域は「World Network of Biosphere Reserve」という法体制によって、今後ネットワークが図られることになっている。この法令は、個々の生物圏保護地域において得られた、共通認識を深め、地域的・国際的なレベルでの共同運営やコミュニケーションの機会を増やすことを目的に制定されている(UNESCO、1998b)。

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図?T-2 MAB計画における生物圏保護地域のモデル

コアエリアにおいては、厳密な保護が行われる。緩衝帯は、基本的に利用禁止であるが、研究活動伝統的な人間活動などが許されている。移行帯では持続的発展が可能な開発や、実験的な研究が許されている。

 

 

 

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