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第8章 測定

 

8・1 測定の基礎

特定の目的をもって、事物を量的にとらえるための方法・手段を考究し、実施し、その結果を用い所期の目的を達成させるこを計測という。測定は、この一要素であり、ある量を、基準として用いる量と比較し、数値又は符号を用いて表すことである。(JIS Z 8103)したがって、測定を行うには基準となる量が必要であり、その基準となる量を単位という。単位の詳細は、第1章1・1電気の単位を参照されたい。

測定法は、次のとおりである。

 

(1) 直接測定:

測定量を同種類の基準となる量(単位あるいはその定数倍)と比較して行う測定。電圧目盛のついた電圧計で電圧を測定することなど。

(2) 間接測定:

関数関係にある量の一つの量を測定するのに、残りの量の測定値から計算によって求める測定。抵抗Rに流れる電流Iと電圧Vを測定し、R=V/Iの関数関係からRの値を計算することなど。

(3) 比較測定:

同種類の量と比較して行う測定で、直接測定を含む。3Vは1Vの3倍であることなど。

(4) 絶対測定:

基本量などを定義どおりに求める測定。lAの測定を定義どおりに測定する測定や、組立単位を基本量から導く測定など。

また、標準と測定量と表示の関係から、操作による区別は次のとおりである

(a) 偏位法:

指針の振れや表示の読みから直接測定量を読み取る方法。ほとんどの測定器は、最終的には直接量を読み取れるから、偏位法によっているといえる。

(b) 零位法:

測定量から導かれる量と基準となる量(標準が発生する量)から導かれる量の差が零となるように、測定器を制御する方法。零を検出するだけでよいので、高い精度の測定に用いられる。一種の間接測定である。

(c) 置換法:

測定量と既知量(この量を標準の与える基準となる量であるとみなす)を置換して、二度の測定結果から測定量の計算を行う方法。測定器の条件が変化しないとみなせるような短時間で、置換を

 

 

 

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