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1・2・4 磁気コンパス

(1)磁気コンパスに対する影響と装備条件

コンパス(羅針儀ともいう)は船舶設備規程第146条の18及び146条の19により、特に認められた船舶以外では、装備を義務づけられている基本的な航海用具である。磁気コンパスは地球磁気により動作する受動的な計器であるため、磁気コンパスの周囲の磁性体あるいは電気装置が発生する磁界の影響を避ける必要がある。これに関して船舶設備規程257条に「磁気コンパスに近接する電路、電気機械及び電気器具は、これに有害な磁気作用を及ぼさないように配置しなければならない」と規定している。さらに、航海用レーダーの性能基準を規定している第146条の13の1に「磁気コンパスに対する最小安全距離を表示したものであること」と定め、磁気コンパスに対する影響を排除するよう配慮してある。

IMOでは、すべての大洋航行船舶に、一定の性能をもつ磁気コンパスの装備を義務化している。さらに、その性能を維持するための装備条件が検討され、磁気コンパスは、船体構造物及び電気装置の影響の少ない位置に装備することが要求されている。

(2)磁気コンパスの安全距離の定義と測定法

ISO勧告R694の定義によれば「磁気装置あるいは電気装置が磁気コンパスに与える影響を除去するか、あるいは大幅に減少させるために必要な最小距離で、磁気コンパスボウルの中心から各装置の最接近点までの距離」をいう。

ISOの磁気コンパス安全距離の測定法には通常の地球磁場内での測定をするA方法(Method A)及び減磁場の中で測定するB方法(Method B)があり、いずれかの方法で測定した値を磁気コンパス安全距離と定義する。

(a)A方法:地球磁場での試験

通常の地球磁場内において供試機器を下記の条件で試験し、磁気コンパスの指針の偏位が0.045°/H以下となる距離を、基準磁気コンパスに対する磁気コンパス安全距離とする。こゝでHは地球磁場の水平分力で、単位はエルステッドである。

試験条件は

イ. 通常の地球磁場にて供試装置を磁気コンパスに接近させた場合

ロ. 装置を1.0×103/4πA/mの直流磁界と18×103/4πA/m50Hz

 

 

 

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