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第1章 航海用レーダーの法的な規制と関連規則類

 

1・1 は じ め に

1・1・1 航海用レーダーと法規

航海用レーダーは、船舶の運航上欠かすことのできない機器であるとともに、電波を使用する機器でもある。このため、このレーダーについては、船舶安全法とその関係法令及び電波法とその関連法令によって、いろいろな規制を受けることになっている。

ところが、船舶は世界中の海を航行するので、その規則の多くの部分は世界的に共通でなければならない。そこで、これらの法規は幾つかの関連する国際機関と国際条約に基づいて作られている。

すなわち、船舶安全法とその関係法令の多くの部分は「海上における人命の安全のための国際条約(SOLAS)」及びこの条約を所掌する「国際海事機関(IMO)の総会の決議」に基づいて作られ、また、電波法は「国際電気通信連合(ITU)」が関係し、その無線通信規則などに準拠して規定されているものが多いが、船舶用の無線機器等についてはSOLAS関係も多く取り入れられている。

これらの国際条約の中で、レーダーなどは長い船舶の歴史から見れば比較的最近に導入されたものではあるが、その技術の進歩が早いため規則類も数年ごとに改正され、今後もまだ改正の可能性があると考えられている。

そのため、現存船に装備されている航海用レーダーには、従来のいろいろな規定に基づいて製造されたものが混在しているのが現状である。そこで、まずそれらの法規の変遷について述べ、その後現行の条約関係と法規を紹介し、また、比較的大型の船舶に適用される「日本海事協会(NK)規則」等の船級規則と、その他の航海用レーダーの諸規則や制度についても触れることとする。

また、最近「国際標準化機構(ISO)」と「国際電気標準会議(IEC)」でも航海機器の国際的な標準化が進められていて、航海用レーダーと自動衝突予防援助装置については、すでにIECにおける規格化は終わっている。

 

 

 

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