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電波のビームを絞って指向性を鋭くすることができる。光の反射鏡にはガラス製の鏡を使用するが、電波の場合は金属面を使い、場合によっては金網でも反射鏡の役をすることができる。このようなパラボラ形の反射鏡を使う空中線を通常パラボラ空中線と呼び、衛星通信などによく使用される。船舶用のレーダーでも古くは、このパラボラ空中線が多く使用されていたが、最近は次に述べるスロット空中線に代わってきている。

航海用レーダーの場合は水平方向は鋭いビームで、垂直方向は25°ほどのある程度広いビームを必要とするところから、パラボラ空中線の場合には図8・17に示すように、水平方向にはパラボラであるが、垂直方向は直線か非常に曲率の少ないパラボラのものが使用されている。

 

8・5・6 スロット空中線

導波管の切り口に金属のふたをして、図8・18(a)に示すように電界面に直角にスロット(みぞ)を切り、そのスロットの長さを1/2波長にしておくと、ちょうどそこに半波長のダイポール空中線があるのと同じ効果をもって、スロット空中線と呼ばれるマイクロ波の空中線を構成する。これは図の(b)に示すように、そのスロットの中央に給電をしたのと同じ効果を持つが、ただ、スロットの場合は電圧給電となって、ダイポール空中線の場合とは逆に、中央部分が電流ゼロで電圧は最大、端部は電流が最大で電圧はゼロになる。

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このようなスロット空中線は、導波管の端部だけでなく導波管の管壁でも、また、空胴共振器の壁でも、金属板にスロットを切って、図8・18(b)に示すような給電をしてもよい。ただし、導波管の管壁にスロットを切るときには、その管壁を流れる電流分布に注意をして、その電流に直角方向の成分を持つようにスロットを切り、電流の流れを妨げるよ

 

 

 

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