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第3章 電波と空中線

 

8・1 電波の発生

電波は、時間とともに変化する電界と磁界が互いに絡み合いながら空間を伝わっていく波動である。いま、ある回路に周波数の高い電流を流したとする。ある回路に電流が流れると、その電流によって磁界を生ずるが、その磁界は電流の変化に伴って変化するから、電流の周波数と同じ周波数で磁界も変化をする。このような磁界の変化は、また起電力を生じ、それに伴って電界も変化する。そして、その電界の変化が、また磁界の変化を誘導するというような形で、電界と磁界の絡み合いが生ずる。これらの関係については、図8・1(a)(b)(c)を参照されたい。

こうして、電界と磁界が絡み合いながら電磁界として空間を伝わって行くのが電波であり、空間にこのような電磁界を作り出す回路が空中線である。そして、空中線はなるべく効率よく空間に電磁界を作り出せるような工夫が凝らされるわけである。さらにまた、電磁界の中に電気回路があると、上に述べたのと同じ原理でこの回路にはその周波数の起電力が生じ、電流が流れる。このような回路が受信用の空中線で、送信の効率の良い空中線は受信の効率も良く、その送受の性質は全く同じである。この空中線と電磁波の関係については図8・1(c)(d)(e)を参照されたい。

なお、光もまた電磁波であって、電波との相違はその周波数にある。そして、電波の場合は、その周波数によって伝わり方などの性質がかなり変化をする。

この電波の性質については本編及び機器保守整備編の各所で説明してあるが、まとめると以下のとおりとなる。

(1)電波は横波である.(3・5参照)すなわち、電界や磁界の向きは進行方向に対して直角である。ただし、3・5導波管で述べたように縦波のこともある。それに対して音波は進行方向と同じ方向に振動して媒質(空気など)の密度の濃い部分と薄い部分が交互に進む縦波である。

(2)電波は電界と磁界とが同時に発生し、単独では存在しない。

(3)真空中の電波の速度は光速と等しく次式で示される。(機器保守整備編1・2参照)

 

 

 

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