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2・5 船の推進

船を前方又は後方に進めるためには推進方法を考えねばならない。小型船では人力による,ろ,かい又は風力による帆などがその方法の一つであるが,船が大きくなると大きな推進力を必要とするので,現在ではスクリュープロペラ推進,外車推進,噴射推進などがある。一般的なものはスクリュープロペラ推進が多い。

 

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2・5・1 スクリュープロペラ(screw propeller)

図9は翼が4枚のものを示したが,3枚又は5枚のものもある。通常はこれを1個つけるが大型旅客船等は2個装備することもある。このスクリュープロペラは翼が数度ねじれていて,1回転の間に軸にそって移動したこととなる。この距離をピッチという。したがって,1回転毎に1ピッチ進むことになるが,水の中では水の抵抗によりエネルギーが費されて船は1ピッチだけ進まず,ある値だけ失われる。これをスリップという。したがって,ピッチをp,船の実際の速さをv,とすればp-vだけ船の速さが失われたことになる。

スクリュープロペラのことを一般に単にプロペラという。

2・5・2 その他の推進器

(1)コルトノズル(kort nozzle)

 

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前記スクリュープロペラを図10のコルトノズル内におき,性能を改善したもので,プロペラ荷重の大きい引き船やトロール漁船に用いられる。

また,これを360°旋回可能にして,引き船等の操船性能の向上に役立てたものである。

(2)可変ピッチプロペラ(controllable pitch propeller, CPP)

スクリュープロペラの翼は傾きや,ねじれによって一定のピッチを有しているが,これは翼角を変節することにより+,0,-にピッチを変えるもので,制御は操だ室で遠隔制御される。したがって,船の前進,後進の動作及び速力を自由に変えることができるので,最近では大型船にまで使用されるようになった。

(3)ホイッシュナイダープロペラ(voith schneider propeller)

図11にみられるように,一群の縦翼が水平に回転するもので,回転数を変えずに,翼の偏心位置を変えて,推力の大きさ及び方向を変えることができるから,かじは不要である。引き船などに適しているが,大馬力用には適さない。

 

 

 

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