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な事故に遭遇した場合、その発見と救助率の向上を図るためのものである。

SARTは、9GHz帯のレーダー(船舶用レーダー、捜索航空機用レーダーなど)の電波を受けると、これと同じ電波を発射する。電波を発射したレーダーの表示面上には、レーダー側から見て、このトランスポンダーが存在する位置の後方に、多数の点列が表示され、遭難場所の方位や距離が分かる。

9GHz帯レーダーの表示面上に現れるSARTコードの一例を<図5.7.1>に示す。SARTは捜索船などからのレーダー電波を検出すると可視可聴シグナルを発するので、遭難者は、船の接近を知ることができる。

因みに、SARTの電波の平均的な有効到達距離は、船舶用レーダーを対象とした場合は、レーダー空中線の高さにもよるが、約10海里、捜索用航空機のレーダーを対象とした場合は約30海里といわれている(2〜3の国のデータでは50〜60海里との報告もある)。

 

5.7.2 装備場所

SARTを装備する場合は、次の点に留意する。

(1)少なくとも1個は、航海船橋のウイングその他の操船場所から迅速に近づける場所に装備すること。(船舶検査心得・船舶救命設備規則96.0(a))

(2)1個の場合は、生存艇のいずれかに積み付けること。2個以上の場合であって自由降下進水式の救命艇を備えた船舶にあっては、そのうちの1個はその救命艇に備え、他は、船内での使用及びその他の生存艇への移設が即座に行えるよう、船橋にきわめて近い場所に保管しなければならない。(1996年改正SOLAS条約B部第1節第6規則2.2)

 

 

 

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