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4.3考察

来島海峡における測位精度と、トランジット分布やその精度について調査した結果、来島海峡は、通峡する船がその行動を的確に制御するために必要な位置や横偏位に関する情報が、十分な精度で得られる海域であることが判った。このことは西水道や中水道を航行するシミュレーション実験結果からも裏付けられた。来島を通峡する場合、位置と航路からの横偏位は、両方の水道とも十分な精度で求めることができる。

ただシミュレーションケースの中に、操船時期を失したケースが一例あった。このことは狭水道を航行する場合、航海計画がしばしば他船により妨害されることがあり、このような妨害があると、

・相手船の影響による航海計画の変更

・変更した新しい航路上を航行するための船首目標等の設定

・適切な間隔での測位や横偏位の検出

を行うことが必要となる。狭水道においてこうした変更に伴う行動を実行するには、時間的にも空間的にも余裕がないために、測位等の作業を正確にしかも迅速に行うことが要求される。しかし一方、相手の動きによっては航海計画を再度変更することも必要となる。このため相手船がそばにいると、当直作業としては、

・相手船に対する注意深い連続監視

・短い間隔での正確な測位

・必要に応じての適切な航海計画の変更

をする必要がある。こうした状況下では、作業量が多くなり、短い間隔で正確な位置を求めることはなかなか困難となる。そのため十分な数の避険線や船首目標等を設定し、安全領域にあるかどうか、転針時期かどうかをいつも捉えながら操船するよう心がけることが必要である。またこうした作業を支援し、運航者の負担を軽減させるために、新しい技術であるDGPSやECDISの導入を考えることも必要である。

 

 

 

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