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(1)打上装置の設置主体

本システムを実行に移すには、この打上装置を設置する主体をどこにするかが第一の問題となる。

津波に限らず防災警報の伝達は、確実な情報をいち早く掴み、何時でも発信できる体制が必要であるが、この打上式津波警報伝達システムも例外ではない。そのため、この信号発射装置の設置主体もその様な体制を持つ組織が望ましい。

現在の警報伝達システムの中でいえば、住民等に最終的に警報を伝える市町村などの機関のうち、NHK等の放送関係を除く各機関が設置主体の候補になると思われる。

 

(2)打上装置の設置場所

次にどのような場所に設置するかが問題となる。このシステムは津波警報を海岸付近にいる人々に伝えることを目的としているので、設置場所は海岸近くにあるということが第一の条件となり、しかも設置主体の防災職員が常駐ないしは短時間に駆け付けられる場所であること、さらには打上者が津波に対して安全を確保できる場所でなくてはならない。従って、これらの要件を備えた場所としては、海岸近くにあり、設置主体の職員が近くに常時いる堅牢で高い(又は高台にある)建物(の屋上)などが考えられる。

 

(3)打上装置の配置と共同伝達体制

この装置による警報の伝達範囲は半径5?以内であるから、打上装置を10kmごとに配置することになる。伝達する範囲は市町村の行政区画が単位となる場合が多いと考えられるが、海岸線の長さがそれぞれ異なるので、1市町村で数か所を必要とする場合と、複数の市町村で1か所だけ設置すれば良い場合とがある。後者の場合は、市町村単位の地域防災計画では運用に支障が起こる可能性もあるので、それらの対策として2以上の市町村に跨がる共同伝達体制も考慮する必要がある。

 

(4) 海上サブシステム

地震やこれによって起こる津波による被害は、いつどのような事態をもたらすか分からないので、陸上で行うこの伝達システムだけで万全としてしまうことには問題があり、このため、船艇を利用して海上からもこの伝達信号を発してバックアップできる、サブシステムについても検討する必要がある。

 

 

 

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