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(」)加速度旋回の有用性

低速時や情走時あるいは逆転はプロペラ後流が弱く、舵への流体流入速度は遅い。

この時、プロペラを一時前進方向に回転させて回頭させる加速度旋回(Acceleration TurnもしくはBoosting Turn)が効果的である。

(、)情走旋回性能と浅水影響

機関停止のままで右舵35度旋回をさせた惰走(Coasting Turn)時の実験によると、浅水時の情走旋回の場合、浅水域においては深水域の場合より170%増となる。

(・)過渡応答特性

舵角をとった初期の小運動から定常運動に至る過渡期の応答を言うが、定常旋回角速度に至るまでの時間が長い。

(ヲ)進路安定性について

・旋回性能と針路安定性は表裏の関係にあり、大型タンカーのような肥大型は針路安定性は劣る。

また、海域の水深により旋回性に変化が見られると同様に針路安定性にも影響を受けることが予想される。

・浅水域では針路は安定し、保針性能が良くなる。逆に保針性能が良くなった場合は注意せねばならない。

・後進時は船首がやや右偏向する場合が多いといえる程度である。

深水中では右舵、左舵に応じそれぞれに向きに偏向しながら停船するが、浅水中では右舵、左舵いずれも船尾を左(船首右)に偏向する作用が非常に強く現れる。

?進路警戒体制の強化

?特別(定)標識・表示の検討と対応

?通航時間の設定等による通航時刻分離の検討と対応

?上記制約条件に基づく対応についての周知と、海域利用船舶間等の相互認識と協調に基づく海域全体の安全な航行の場の創出への協力体制づくりとその定着

尚、21世紀の新しい時代に向けての東京湾の適切な海域利用・適正規模の船舶運航体系の確立。その中でシングルハルタンカー運航の問題も含めて検討の上適切な対応をはかることが望まれる。

?の「進路警戒体制の強化」に関する検討結果概要については後述するが、?〜?については他の様々な検討課題と関連し、且つ多岐にわたる課題でもあるので、引き続き総合的な観点からの検討が望まれる。

 

 

 

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