従って、この450mを幅員とする通航路内航行を保持のため、そのほぼ中央すなわち灯浮標A〜Dをそれぞれ結ぶ線に対して550m(約3ケーブル)の離隔距離を確保し基準の進路(経路)として選定するものとする。
?航行速力の選定
当該水域での航行速力は、浦賀水道航路での所定航行速力に準じ12ノットの範囲内とし、航行時の自然環境条件および航行他船等の動静等に対応し、安全かつ適切な速力を確保するものとする。
2)京浜港域への分岐進路(経路)の選定
横浜シーバース等への進入操船に当っては、1)に述べた進路(経路)選定に続いてB灯浮標側方にて28°程度の右転の後、さらにC灯浮標側方にて11°程度の右転にて水先人乗船地点に向けた分岐進路をとるものとする。
バースヘの進入に当っては、適確な逓減速操作とともに航行他船との競合回避のための適切な進路速力を確保し対応に努めるものとする。
3)基準的操船方法の対外周知と協力依頼
前述1)および2)に述べた当該水域における大型タンカーの基準航行進路(経路)と操船法については、大型タンカー操船者がこれを遵守し安全確保に努めると共に、同水域利用の他の一般船舶や操業漁船、プレジャーボート等の理解と積極的協力が同水域全体の安全性確保の上での前提となる。
従って、大型タンカーについて設定した上記基準的進路の選定と操船法については、組織的に広く海事関係者に周知するとともに海上保安庁の支援を得る等して、自主的・実質的な協力体制づくりをはかって行くことが望ましい。
(2)中ノ瀬西側水域航行援助施設の改善について
大型タンカーが(1)に設定した基準の進路を保持し航行の安全を確保するに当っては、当該水域を適確に把握し高精度の船位を維持することが必須の条件である。
特に、去る7月2日発生したダイヤモンド・グレース坐礁事故にもみられるとおり、中ノ瀬西端の側線および当該航行水域西側側線すなわち北航路と南航路との航行域境界線の把握は重要である。
このような観点から、当該水域での航行援助施設について、当面以下の改善が望ましい。
1)現灯浮標についての視認性の向上
?中ノ瀬A、BおよびC灯浮標の大型化、光力の増大をはかる
?浦賀水道航路中央第6号灯浮標にレーダービーコンを新設する等による灯浮標の機能の向上をはかる。