日本財団 図書館


1. まえがき

 

(社)日本中型造船工業会が昭和62年度に開始した「パソコン用船舶計算プログラムの作成」事業も、基本構想から10年以上が経過した。この間に当会は船舶基本設計計算に必要となるソフトウェア群を開発完備し、それらは各造船所において有効に利用されてきた。

しかし一方で、パソコンもハード的・ソフト的に大きな進歩を遂げた。特に環境ソフト(OS)の主流がMS-DOSからウィンドウズ95に移行したことで、船舶設計計算を行ううえで能力面の制約はほぼ解消されたといってよい。

そこで、当会は平成8年度より、いささか時代の流れから取残され始めた感があった開発済みソフトウェア群をウィンドウズ95環境に移植することとした。

また同時に、国際規則の改正等、中型造船業を取り巻く課題も高度かつ多岐にわたり、そのいずれもが個別の中型造船所には対応が困難であることに鑑みて、ソフト自体についてもアップツーデイト化を推進することとした。

本年度の課題は、次の通りである。

第1に、平成8年度から開始した波浪中復原性能計算プログラム(不規則波対応)の開発である。これは、将来的に波浪中の復原性計算結果を本船に添付するようIMO(国際海事機構)において国際規則に盛り込まれる公算が強く、そうした事態に早い段階で対応したものである。また、平成8年7月より我が国でも製造物責任法が施行されたが、製品安全の見地からも当ソフトウェアは、大きな意義を持つものと考えている。

第2に既存ソフトウェア群のウィンドウズ95環境への移植のためのシステム及びデータ構造の再設計、ハイドロスタビリティ計算、タンク計算、トリム計算の各プログラムの移植作業、第3に計算精度向上等のアップツーデイト化である。

これらにより、当ソフトウェアが今後とも有効活用され、中型船舶における性能向上と航行安全が図られることを期待するものである。

 

社団法人 日本中型造船工業会

コンピュータリゼーション委員会

委員長  森田 知治

 

 

 

目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION