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鋼製のライザーケーシング継ぎ手がまだ使われているが、複合材料の継ぎ手を水面下に置けば、不幸にも事故が起きた際にでも複合材料が火炎に曝される事は防げる事など、今後生産用のチュービング、ことによると内部ケーシングまで多種多様な装置や要具が、CPR方式で使われる様になるであろう。

 

CPRの必要条件

本プロジェクトでは、完了時にCPRが直ぐ実際の海洋分野で使用できる事を目指して.CPR継ぎ手の製作と品質検証のガイダンスとなる機能仕様書と性能基準書を作成した。

機能上CPRは鋼製のライザーケーシングと同等の性能を持たなければならない。一般的に言えば、これらの機能とは;先ず抗井の制御を目的として圧力や流体を保持する事であり、第二にライザーシステムの構造部材としての役割であり、第三は地下の油溜まりから流体を移送する為の地中部分を含めた囲いであり、そして最後に抗井内に掘削/作業装置や産油管を導く事、等である。CPRは特別な操作技術や装置を用いずに、これらの機能を満足させる事が出来る。

CPR系全体の重量は鋼製ライザーに比べてずっと軽く、機構面での負荷は非常に小さくなる。機構や性能上の要求値を求める為、代表的なプラットフォームの動揺や環境荷重を基にCPRモデルの繰り返し応答計算を実施した。現在の処、僅か2回の繰り返しで、CPRの適切な機能上の荷重が求められている。

最先端の複合構造材のデザインは元々防衛や宇宙産業に限られていて、そこではシステムの各構成要素の信頼性は、全体システムの信頼性が適切に維持される範囲で、必要最小限の信頼性レベルで設計される。CPRの設計においても、この考え方が採用されており、各種強化材の長期応力疲労破壊性能データの基づいた許容応力比という数値を用いて、CPRが必要な期間、必要な荷重に耐える事を確認している。

予備検討の結果、3種類の複合材管体デザインが考えられた;10-3/4in一重/二重ケーシングライザー、9-5/8in一重ケーシングライザー、10-3/4in二重ケーシングライザーの3種類である。そして10-3/4in一重/二重ケーシングライザーが選ばれ、詳細設計と試作試験に進んだ。この方式なら最も過酷な条件にも耐えるCPRが実現できる。表1は10-3/4in CPRケーシングの要目(一重ケーシング及び二重ケーシング共通)を示す。

この一重/二重ケーシングの概念は素晴らしく、実用上の構造要求値を満足する事は明らかであるが、プロジェクト関係者は一重ケーシング、または二重ケーシングのどちらかに絞って設計する方がコスト面でずっと効果的であると考えた。この時点でCPRの設計はコスト、重量そして性能のプロジェクト目標を全て満足する事となった。

 

CPRデザイン

CPRの設計は3社に委託され並行して行われた。Lincoln Composites社は複合材管壁と複合材と金属材の間の取り合いに関する設計を実施した。HYDRIL社は鋼製の管端部分の特殊ネジ接ぎ手を設計した。これら2社は以前からそれぞれ別の分野で異なった取り組みをしていたが、それらの経験は今回のプロジェクトの必要性を理解し協力するという意識と効率的なコミュニケーションによって更に生かされる事となった。この2社

 

 

 

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