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米国

 

米国造船産業

 

? 序論

 

米国はかつて大造船団だった。1939〜1945年の間に、米国は5,000隻以上の商船を建造した。しかしながら、経済・政治情勢の変化から、米国の商船建造事業は次第に衰退し、1980年代には底を打った。最近では、海洋石油資源開発の需要が増大し、さらに海事庁(MarAd)のタイトルXI融資保証プログラムが新たに強化されたことから、米国造船業に新しい生命が吹き込まれた。

 

? 現状

 

?-1 主要な造船拠点

1993年以来、MarAdは米国の商船建造能力を、主要造船拠点(MSB)という方式により評価している。MSB施設とは、船体長122m以上の船舶を建造可能な船台、横進水型プラットフォームまたはドックを少なくとも1基備えた民間造船所を言う。少数の例外を除いて、これらの造船施設は、乾ドックを備えた主要修繕船ヤードでもある。現在米国内には17ヶ所のMSBがある(図1)。

1996年、ニューポート・ニューズ造船が米国籍の46,500DWT型二重船殻タンカー5隻を受注した。これは過去10年間に米国内造船所への1件の商船発注としては最大の隻数である。

1997年4月1日現在、外航商船の手持新造工事量は、2隻の大幅改造を含め17隻に達した。これは1982年末以来最大の手持工事量である。米国造船業は過去数年間、長年にわたる商船新造の衰退から脱して、新規受注が増加している(図2)。

 

?-2 第2類の造船所

 

第2類の造船所とは、主として内陸水路や沿岸航路用の船社を支援する中小造船所で、米国の新造船・修繕産業の重要な一部をなしている。その事業活動はカジノ・ボート、タグ、トウボート、オフショア・クルー・ボート、サプライ・ボート、フェリー、漁船、バージ等の新造と修繕である。

1996年、バージ運航業界のバージ発注は過去20年間で最高の水準を示した。この伸びの主因としては、既存の老朽船の市場撤退と新型の二重船殻バージに対する需要増大が挙げられる。バージ業界は2年間にわたる需要の堅調、運賃の高水準に活気づいた。さらに、多数のバージが耐用年数の終わりに近づいているので、乾貨バージの

 

 

 

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