日本財団 図書館


1) キー付きプロペラ

キー付きプロペラとは,プロペラボスとプロペラ軸とのはめあい部にキーを用いて取付ける構造のプロペラである。

プロペラボスコーンパート部の1個所にキーみぞを設け,またプロペラ軸テーパ部に設けたキーみぞにキーを植込んだ状態でプロペラ軸のコーンパート部にプロペラを押込む。この時プロペラボスのキーみぞとプロペラキーが嵌合するとともに,プロペラボスコーンパート部の面とプロペラ軸コーンパート部の面との間に摩擦力が発生する。この摩擦力とキーの作用によって主機関のトルクをプロペラに伝える。

2) キーレスプロペラ

キーレスプロペラとはプロペラボスとプロペラ軸とのはめあい部にキーを使わずにプロペラを押し込みコーンパート部に発生する摩擦力によって固定する構造のプロペラである。キー付きプロペラの場合,主機関の高出力や1回転中のトルク変動が大きい船舶ではプロペラキーに非常に高い変動トルクによる剪断力が作用し,プロペラ軸の船首側のキーみぞなどにクラックが発生することがある。これらの損傷に対する防止策とともに,プロペラの取付けおよび取外しの容易な構造のプロペラキーなし(キーレス)によるプロペラのプロペラ軸への装着が考えられたのが,キーレスプロペラである。

 

2.3 ハイスキュープロペラ

ハイスキュープロペラは3・40図に示すようにスキュー角が大きいプロペラを言う。ハイスキュープロペラの形状にはバランススキュー型とバックワードスキュー型がある。船の主機関の高出力化に伴って,船尾振動が増大し居住性の改善の対策の一環として,日本では昭和55年頃からハイスキュープロペラが採用された。ハイスキュープロペラは船尾振動の原因となるプロペラ起振力を軽減するのが主目的である。ハイスキュープロペラは船尾の不均一な流れに対して,プロペラの感度を弱め,プロペラ自身で,その発生する変動力を減少させようとするものである。ハイスキュープロペラは相当大きなスキューバックをもつ特異な形状をしたプロペラである。

プロペラの起振力は,船全体に伝達される道順により二つの成分に別けることができる。一つは直接的にプロペラ軸を介して船尾管軸受,船体に伝わるベアリングフォースと呼ばれるもので,もう一つは間接的にプロペラの作動によって水圧変動の形で船体および舵の表面を通じて船体に伝わるサーフェスフォースと呼ばれる成分である。

ハイスキュープロペラの特長として,サーフェイス・フォースやベアリング・フォースが軽減できる。また通常型プロペラに比較して推進性能は前進時において,スキュー角にはほとんど影響されないし,プロペラのキャビテーション性能にも優れているので,より速い船速でキャビテーションの発生なしで航走できる。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION