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じを切る。プロペラナットおよびねじの寸法はプロペラナットがプロペラの押し込む際の要具として使用されることから,プロペラの押込力や押込みに用いる油圧ジャッキの寸法を考慮して定める。なお,プロペラナットには3.18図に示すようなロッキングピン,ロッキングキーなどの回り止めを設ける。キーレスプロペラの場合,プロペラの押込荷重の増大に伴い,3・19図に示すような油圧ジャッキをプロペラナットに組み込んだ構造のものが用いられ,プロペラの押込みおよび抜出しの両方に使用できるようになっている。

(5) プロペラ軸のゴム巻き

プロペラ軸のゴム巻きは,プロペラ軸の船尾管軸受に相当する個所は分装青銅スリーブで焼嵌めし,その分装青銅スリーブの間をゴム巻きして,海水からプロペラ軸の軸身部を保護するものである。3・11図に分装青銅スリーブの端部とゴム巻きの構造を示す。スリーブ端部にはアリ溝を設け,ハンダメッキを施した上にエボナイト層およびゴム層をコーティングし,プロペラ軸の耐海水防食被覆を行うものである。

(6) プロペラ軸のFRP巻き

プロペラ軸のゴム巻きに代る防食法で樹脂(FRP)を積層しながらコーティング(SKSバインディングと呼ばれる)するもので,プロペラ軸スリーブ端部とFRP接合部は3・12図に示すような形状とし,スリーブ端部と軸との間に特殊パッキンを設けることにより,万一FRPの端部から海水が浸入してもスリーブの端部で防止できる。樹脂材料はスリーブおよび軸に対して極めて接着力の強いものを使用し,プロペラ軸の振り応力に対しても接着はがれのないもので, ガラス繊維で補強されている。

2) 油潤滑方式

3・20図に示すような,油潤滑方式の場合,船尾管軸封装置を船尾側および船首側に設け,船尾管軸受への海水の浸入を防止しているので,プロペラ軸の軸身が直接海水に接触することはない。従って,鍛鋼製プロペラ軸の場合でも青銅スリーブを装備する必要はない。但し船尾管軸封装置は船舶機関規則などの承認されたものであることが条件である。

 

 

 

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