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以外を小危険速度Minor Crtical Speedという。

このようにして,それぞれの機関について具体的に危険速度ならびにそのときのねじり振動の振幅が計算される。その1例を補・38図に示す。これは補・36図に相当軸系を示した舶用機関軸系であり,その軸系における機関の第1シリンダ位置でのねじれ振動の角振幅がそれぞれの危険速度に対応して示されている。機関軸のこの位置での振幅が判ればそのときのこの軸系の各慣性モーメントすなわちJ1,J2,……間のねじれ振幅並びにそのねじれに基因するトルクがホルツァの表から計算できる。トルクが判ればねじれによるせん断応力を算定することができ,そのせん断応力値,すなわちせん断応力振幅が疲労破壊に対する許容値以下であるかどうかが判断出来ることになる。もしねじれ振動による応力振幅が許容値を越す場合はその危険速度の付近での連続運転は避けねばならない。また適当なダンパ(Dumper)をつけて振幅を抑えることが行われる。その場合はダンパをつけた状態での振動計算がなされる。

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一般に新造船の機関軸系はもちろん,機関軸系を変更した場合には必ずその軸系についてねじり振動の計算が行われ,その結果が提示されると同時に運転時にねじり振動が実測され,計算結果との照合が行われる。どのような現象でも実測に勝る検証はないのであるが,一般に実測を正しく行うことは易しいことではない。現在では優秀なねじり振動計が国内でも製造されており,これらを正しく使用すれば十分に正確なねじり振動の振幅を知ることができる。しかし一般にその測定位置は機関自由端であり,軸系上の任意の点,あるいは危険断面でのねじり角振幅を知るには実測値に基づきホルツア表から計算して求めねばならない。したがって機関軸系の安全運転のためにはその軸系の固有振動を求めたホルツア表がどうしても必要である。そしてこれを十分使いこなすように心掛ける必要があ

 

 

 

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