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2)プロペラが軽るすぎる場合

この場合,海上運転時の定格回転数における機関の排気温度が低くすぎて,計画の馬力を発生することができない。従って船は計画船速を出すことができない。この原因は,プロペラピッチが小さすぎることにある。この対策には,良い方法はなく,ピッチがあまりにも小さすぎる場合には,新たにプロペラを設計しなおして,換装するより他に適当な方法はない。

また,プロペラが重すぎたり,軽るすぎたりする場合に,特に小型プロペラで修正する目的で翼をハンマーで叩いて,ピッチの加減をすることは賢明な策ではない。ハンマーで叩くだけで,各翼を同一ピッチに修正することはできない。もし,各翼の間にピッチのアンバランスが生ずると,運転中に振動の原因となるので留意のこと。

プロペラピッチ,回転数,および直径との相関関係は近似的に次のようにいえる。

回転数1%(rpm)はピッチで約1.5%に相当する。

プロペラ直径(D)とピッチ(P)の和は一定である。

D + P=一定

3.3 入渠時のプロペラの状況確認

(1)プロペラ翼面のき裂の有無の確認。

通常型プロペラの場合,プロペラ前進面側の翼根元部のカラーチェックなどの非破壊検査を行い, き裂が検視された時は, き裂の深さを確認しながら,スムースに加工修正する。ただし,検査官と協議,立会いの上施工しなければならない。

(2)ハイスキュープロペラの場合

上記の翼根元部の精査は勿論のことであるが,ハイスキュープロペラの場合,翼後縁側の0.6〜0.8R付近に最大翼応力が発生する個所があるので,その付近のカラーチェックを行い,き裂の有無を確認する。き裂が検視された場合は,検査官と協議し対策を行う。

(3)プロペラの曲損,欠損の確認

プロペラの曲損,欠損が発見された時には,プロペラの補修に記した要領で工事を施工する必要があるが,船級協会によっては,0.7R以下の位置での新しいピースによる切継ぎ溶接を認めていないので,工事を行う際は検査官と十分協議をする必要がある。

(4)プロペラの翼面は,海洋微生物による汚損によって生じる翼面粗度の変化,自然損耗によるプロペラの翼面粗度の経年変化,キャビテーションによって生じるプロペラ翼面粗度の変化などによつて,肌荒れ状態の場合は,プロペラ効率に影響を及ぼすので,翼面研磨が必要である。

 

 

 

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