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言ったら運輸省の方に怒られてしまうかもわかりませんが、例えば引っ越し荷物でもカートに乗せて車に楽に入ります。そして楽に出せます。自転車も入ります。出すこともできます。

乗っている間の安全ですが、車いすは前向きがいいのか、後ろ向きがいいのかというお話がございました。1人で乗っているときの用心で、いろいろ締めなければなりませんでしょう。この前、日産さんにお伺いしました。車から板が出てくるわけです。そして車いすは上がっていきます。車いすが上がりましたら、紐で縛ってきちっとするわけです。タイヤも動かなくなります。それはとても安全です。ただし、乗っているお客様はいかがでしょうか。50人なり乗っていたら、1人のためになんだということになります。それは特別扱いだと思うのです。できればみんなが注意して、運転手も注意して事故が起きないようにする。乗ったと思ったらスッと動き出して、必要なところで車いすはスッと出て行く。いつ乗ったのか、いつ下りたのかわからない。車いすは特別だということを考えないような乗り方がいいのではないでしょうか。パリでも何も締めないで乗っていました。赤ちゃんを乗せた車もお母さんが座っている椅子の横に置いて、手で押さえているだけです。子供をときどきあやしているんです。何も変わっていない。非常に自然です。でも安全に運転しています。

元来、低床式のバスは郊外は無理です。市内ばかり走るものだと思います。市内は停留所も多いし、乗り降りも早い。いま言いましたようにお年寄りも含め、乗り降りがすごく楽です。お役所とか、いろいろな関係者がいらっしゃると思いますが、話として聞いておいていただきたいんです。ラッシュなんかの場合は、グッと押すとスッと入っていきます。前はグッと押しても入らなかったんです。バスは冬は特別込みます。なぜかと申しますと、スタッドレスタイヤになりまして、運転しにくくなったものですから、お客様は乗用車をやめてバス通勤・通学を始めます。そのために、朝のラッシュだけですが冬はものすごく込みます。

私どもは12メーターぎりぎりの大きいバスばかり走らせていたのです。今度はそれより少し小さいし、車のところが出ていまして、これは無理かなと思っておりましたが、押す力が強くて、止まっている時間が非常に短いです。今まではラッシュで回ってきますと、ある地点からは全然乗れなくなりました。1人でも乗るのに5分ぐらいかかるときがありましたが、全然そんなことはございません。低床式の場合は1分か1分半くらいの時間で乗ってしまう。その意味ではとても早い。定時性が確保できると思います。

大分話が行ったり来たりしていますが、入れる動機と実際に運行していることと、あまり差がなく来ております。

先ほど毎年3.5%減ると言いましたが、同じ運賃で3.5%減っていない。ほとんど100%です。自然減がなくなったということが言えると思います。こんなことを言うのはと思いますが、自家用車の人、タクシーの人、バスの人がいます。バスに乗る人というのは交通に関しては本当の弱者と言ったらいいのでしょうか、経済的にも弱者の人を対象にしていたと思うのです。これを変えるために、先ほどバリアフリーと言いました。それもありますけれど、バスに乗ってもひけを感じない。逆に低床式のバスに乗っていることをちょっと誇らしく感じる。そんな感じになったらいいなと思っています。普及してしまうと、これまた別かもしれません。しかし、そんなふうにいつも心掛けていこうと思っています。田舎だからでしょうが、中学校では「今日は低床式の

 

 

 

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