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総括

東京大学工学部助教授

鎌田 実

 

ただいまご紹介いただきました東大の鎌田でございます。車両関係の総括をということですが、今日は各メーカーさんから車を用意していただいて、外に展示してあるようでございます。それをごらんいただいたほうが口で説明するよりわかりますので、あとの展示会、交流会のほうでよくごらんいただければと思います。

ということで、私は車の話を少しさせていただいて、その後、先ほどの秋山先生の話と多少ダブリますが、ノンステップバスをどういうふうに位置づけて、これからどう普及させていったらいいのか、その辺について私の考えをお話しさせていただきたいと思います。

 

1. 国産ノンステップバスの出来は?

いま4社からご説明いただきましたけれど、国産のノンステップバスは今年初めて本格的なものが出てきました。まず、それらがどういう出来かということでございますが、プロの目から見てもおわかりと思いますが、欧州車に引けを取らないハイレベルな車に仕上がっていると思います。正式発表で発売価格が明示されているのはまだ1社だけですが、その1社さんが2000万円ぐらいで出しているということで、カタログ価格で言いますとドイツの例えばベンツ車の半額ぐらいということで、各メーカーさん、非常に頑張ったなという感じがいたします。

もちろん普通のツーステップのバスの値段、それから公共交通そのものの位置づけが欧州と日本では違いますので、一概に比較はできませんけれど、かなりハイレベルであるということは言えるかと思います。

しかし、ヨーロッパでは1990年ぐらいからノンステップバスが普及し始めまして、最近ではノンステップ化率が80%、90%ということで、去年、今年にかけて出たニューモデルは、例えば今年出たベンツの車、ネオプランの車などはすでに次世代へ進化しておりまして、ノンステップバス専用の車になっております。

日本の車がそういうように進化するかどうかは、今日おいでのバス事業者さんにどれぐらい買っていただけるかにかかっております。それが5年後になるのか、10年後になるのかわかりませんが、今年やっと出てきたものをどう育てていくかというのは、これからにかかっております。

さて、各メーカーさんのただいまの説明でおわかりいただけると思いますが、細かく見ていきますと、けっこう違っている部分が存在いたします。運輸省の「人にやさしいバス」の報告書を見ると、リアアクスルは4社統一を前提と書かれていましたが、ふたを開けて見ると4社全部違うものを使っておられる。ホイールベースの長さの違う車があったり、エンジンの置き方も違うものがあります。バス事業者さんが複数の車種を使われると、現場はけっこう大変な

 

 

 

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