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石油に代わるエネルギーを求める取り組み

 

本日は、二番目のテーマであるクリーン・エネルギー車、いわゆる低公害車について、一般論をご紹介させていただきます。

クリーン・エネルギー車や代替燃料車、代替エネルギー車、低公害車など、いろいろな言い方をしております。厳密には多少の違いはございますが、本日はほぼ同義語として使わさせていただきます。具体的には、電気自動車、メタノール車、天然ガス車、それにハイブリッド車とよばれるものなどがございます。代替燃料ではないのですが、低NOxとか低微粒子状物質、低スモークという意味でのメリットがあるディーゼル車代替LPG車も、このなかにはいってくるかと思います。

有限の石油資源に替わる代替燃料を用いる自動車の開発に、われわれも長期的課題として長年取り組んでまいりました。この図は、石油に替わる代替燃料としてどういうものがあるかを示しています。合成軽油や合成ガソリンなどがございますが、一般的にはメタノール燃料やCNG、LNGといったものがあります。CNGは圧縮した天然ガス、LNGは液化した天然ガスです。それから水素燃料も挙げられるかと思います。

各種の低公害車、代替燃料車を開発するうえで、それらがどういうねらいをもつのか、どういう位置づけにあるものかを正しく認識して取り組む必要があろうかと思います。ここでは、左の上に低CO2性、左の下に低排出ガス性――一般的には低公害性ということになろうかと思いますが、NOXや粒子状物質が少ないことを示します。右の上は省石油エネルギー性、右の下は石油代替性。こういった四つの軸でみたとき、電気自動車は四つの要素をすべて満たすことになります。ハイブリッド車は石油代替ではございませんが、低CO2、低排出ガス、そして省石油エネルギー性をもっているといえるかと思います。

CNG車がガソリン車にとって替わるものか、ディーゼル車にとって替わるものかによって少しねらいは変わるかと思います。ガソリン代替のものに関しては、低CO2性を有しますが低排出ガス性という意味ではそれほど大きな差はないのではないかと思っています。これに対してディーゼル代替のものについては、NOXが低いとかスモークが少ないなど、低排出ガス性を持つものだと思っています。メタノール車についても、ガソリン代替とディーゼル代替とでは、若干位置づけが異なります。これらを正しく認識して開発を進め、普及を図る必要があろうかと思います。

フリート・テストは、運輸省さんの管理の元にメーカーとユーザーとが一緒になって一般走行テストを行い、安全性・公害性の観点から問題がないかどうかをチェックするものです。そこで問題がなければ、通常の自動車と同じような認証の手続きになります。ハイブリッド自動車、メタノール自動車、CNG車については、こういうフリート・テストの結果をふまえて通常の認証に移行しております。CNG車も、1995年12月にフリート・テストが終了して、通常の自動車の取扱いになりました。

 

 

 

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