日本財団 図書館


来賓あいさつ

 

宮城県知事 浅野 史郎

 

私は、皆様方への応援とお祝いに駆け付けました宮城県知事の浅野史郎でございます。

交通安全と環境問題を考えるシンポジウムということですが、どういう取合わせだろうかと、その関係性をどのように考えていくのか、二つ位考えたのですが、まず、交通安全は我々の極めて身近な問題です。何時そういった目に遭うか分からない。

また、加害者であったり被害者であったり、毎日車を運転している人もいるでしょうし、ともかく交通ということに縁がなく生活している人は殆どいないわけで、ただ、なんとなく「ひとごと」であるという感じもします。

交通安全の問題は、日本だけの問題ではなくて、もちろん国際的な問題というか、最近では、ダイアナ妃の事故、これは交通安全という面で捉える人は少ないかもしれませんが、まさに交通事故ですから出来事自体は交通安全を考える一つの機会ではあるわけです。

そのように、わが国だけではなくて、この地球上のどこででも問題になり得るという交通安全の問題です。

環境の問題も、私どもが学生の頃、公害問題というのが起きました。

私が職業生活に入って2年後に環境庁という役所ができました。私もそこに奉職したことがあるんですが、環境問題、公害問題というのは主に国内問題として語られていました。

しかし、最近は、地球環境問題です。地球温暖化とか、酸性雨とか、オゾン層の破壊でありますとか、海洋汚染などとか、みんな国境を越えた国際問題として起きてきています。

我々が出したフロンガスが南極の上に穴を開けるということを想像して生活をするということは、大変に知的水準と感受性と想像力を必要とするわけですから難しい、そういう時代になってきたと思っています。

交通安全の問題と環境問題の共通点は、どうも「ひとごと」だという感じではないかなあと思うんですね。

毎日車を運転し、そして毎日歩行者として交通事故と直面させられるような生活をしていながら、余り合理的な根拠もなしに、絶対に自分には起きないというふうに思っている節があります。私もそうです。

そんなこと起きるかもしれないと思っていたらなかなか車にも乗れませんし、それも「ひとごと」なんですが、必ず誰かに起きてしまう。

注意していても起きてしまう可能性があるという意味では、実は「自分ごと」なんですが、なかなか「自分ごと」として捉えられないという問題があります。

環境問題が「自分ごと」でないというのも、被害と原因との距離、時間の不等さということがあって、自分一人位余り気をつけなくったって大勢に影響ないだろうという文字どおりの

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION