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交通安全と環境問題を考える

(財)交通アメニティ推進機構 ・みやぎシンポジウム実行委員会

 

は じ め に

 

21世紀の足音が、すぐそこまで近づいてまいりました。21世紀に向けたさまざまな課題のなかでも、とりわけ交通安全と交通に関わる環境問題は、早期に改善を迫られている喫緊の課題です。

イギリスのダイアナ元皇太子妃の悲劇的な交通事故死は、あらためて自動車事故の恐ろしさを世界中に印象づけました。日本でも年間約1万人の交通事故による犠牲者を数えております。小さな交通事故は毎日のように起こっていますが、それゆえに交通事故に関する私たちの感覚はややもすれば鈍感になりがちです。

地球上には約58億人の人びとが暮らしておりますが、全世界ではすでに6億台の自動車が走っているともいわれます。アジアやアフリカを含めて、平均して10人に1人が自動車を保有しているのです。世界中で自動車がひしめきあっています。

この12月には京都で、地球の温暖化を防止するために二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量の削減目標を話し合う国際会議「温暖化防止京都会議(気候変動枠組み条約第3回締約国会議、COP3)」が開かれます。二酸化炭素の排出量削減という新たな課題は、不要不急の自動車の抑制、燃費の大幅な改善によるエネルギー利用の効率化、公共交通網の整備・拡充などを迫っております。

地球温暖化問題は、無限のように錯覚されてきた地球の大きさが有限であることをあらためて喚起いたしました。便利さを競い、安さと早さを競いあう時代は否応なく転換を迫られています。自己抑制やつつしみが、文明の成熟が求められる時代が21世紀です。便利さや「豊かさ」を追い求めることにかわって、どのようにリスク(危険)を避けるかを中心に、いろいろな物事を考え、判断し、地域づくりを考えていくべき時代が到来しつつあります。

 

 

 

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