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・ 欧州:財政の安定とインフレ抑制に伴う低金利により、1996年の欧州の国際観光は順調に伸びた。欧州は引き続き、世界で国際観光客到着数の最も多い地域で、到着数では世界全体の約3分の2近くを、国際観光収入では半分を占めた。1996年の国際観光客到着数は3億4,700万人で、対前年伸び率は95年より高い3.6%を記録した。国際観光収入は2,150億ドルで、対前年伸び率(6%)は1995年を下回った。

・ 東部地中海沿岸諸国は、欧州内で国際観光客到着数と国際観光収入の伸びが最も大きい地域であった。これは主に、トルコの国際観光収入が対前年比約32%増を記録したことによる。

・ 西欧は、1996年の国際観光客到着数は若干のプラスに転じたが、依然欧州内で国際観光客到着数と国際観光収入の伸びが最も鈍い地域であった。西欧諸国が到着数と観光収入において既にかなりの水準に達していることと、オーストリア、スイスなど一部の国で通貨価値が上昇したことが原因として挙げられる。フランスの国際観光客到着数は対前年比2.3%増とプラスに転じた。

・ 英国、スカンジナビアを含む欧州北部の伸びは世界平均を上回ったが、これは、英国への国際観光客到着数が大幅に増えたことによる。スカンジナビア諸国の伸びはあまり大きくない。

・ 成熟した旅行目的地である南欧は、全体としては順調に伸びたが、国によってばらつきがある。イタリア、スペイン、ポルトガルヘの国際観光客到着数は対前年比2.0%−14.3%の伸びを記録した。

・ 中・東欧は、依然西欧と域外からの観光客によって潤っている。先進国と開発途上国の中問に位置する国においては、市場経済の確立と経済全般の安定化へ向けて改革が進んでおり、このため経済が順調に伸びた。ポーランドなどいくつかの国では宿泊を伴う外国人旅行者が増えたことにより、国内の観光投資への関心の高まりが見られた。バルト海沿岸諸国は特に伸びが大きい。ロシアおよび他の旧ソ連邦諸国の観光関連データは不完全ではあるが、それで見る限り国際観光客到着数は伸びている。

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