日本財団 図書館


・ 東アジア・太平洋地域:1996年の東アジア・太平洋地域の国際観光は、この地域の上向きな経済と歩調を合わせるように伸びた。一部の国で経済の過熱化を抑えるため引き締め策が取られたこともあり、国際観光の伸び率は1995年に比して低かったが、国際観光客到着数は対前年比7.9%増の9,000万人、国際観光収入は同13.0%増の820億米ドルを記録した。1994年までの10年間、東アジア・太平洋地域の国際観光客到着数は世界最高の伸び率を保っていたが、95年には中東にその座を奪われ、96年も1位の座は取り戻せなかった。東アジア・太平洋地域の伸び率が鈍ったのは、世界観光機関 (WT0)が1990年に発表した「西暦2000年までとそれ以降の世界の観光成長予測」の中で指摘している国際観光発展の阻害要因がある程度影響していると考えられる。その阻害要因とは以下の2つである。

(1) 国際観光客誘致に必要なインフラや観光施設の整備のための資本調達が十分でない。

(2) いくつかの国において空港の収容能力など輸送関連インフラが十分に整備されていない。

とはいっても、東アジア・太平洋地域の国際観光の伸びは依然大きく、世界の国際観光客到着数の増加数の約26%を占めている。

・ オーストラレーシア(オーストラリアおよびニュージーランド)は、国際観光客到着数、国際観光収入とも東アジア・太平洋地域でもっとも伸び率の高い地域であった。

・ 北東アジアは、東アジア・太平洋地域への国際観光客到着数の半数以上にあたる5,100万人を受入れ、東アジア・太平洋地域の中で最も外国人来訪者が多い地域である。北東アジア地域各国は軒並み到着数の増加を記録した。日本への到着数は4年間減少し続けた後、1996年には対前年比15%の358万人(宿泊を伴う到着数は約200万人)を記録した。中国の国際観光収入は対前年比20%増の100億ドルに達した。

・ 東南アジア諸国の国際観光も順調に伸びた。インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイなど成熟した旅行目的地のみならずベトナムなどの新興旅行目的地への来訪者も増加した。しかし、フィリピンを除いて、対前年伸び率は1995年を下回った。

011-1.gif

 

 

 

前ページ   目次へ  次ぺージ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION