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APTEC調査報告

(APTEC Silk Road Survey Report)

 

APTEC今年度調査報告

 

新疆ウィグル自治区におけるシルクロード旅行

 

1994年10月にWTO及びUNESCOの共催によりサマルカンドにおいて「シルクロード・プロジェクト」の会議が開催され、日本を含む19カ国が参加した。この会議においては、今後関係者が官民協力してシルクロード旅行を推進していくことを盛り込んだ「サマルカンド宣言」が採択された。

1995年9月に発足したアジア太平洋観光交流センターは、これを受けて、1996年から「シルクロード等開発途上国地域の観光交流促進調査事業」を取り上げることとした。本事業を推進するために、センターに「シルクロード観光促進委員会(委員長 樋口隆康氏 シルクロード学研究センター所長)」を設置し、地域各国の交流動向等の基礎調査を行うとともに、主要な観光地については、学識経験者、観光関係団体、地方自治体等の実務者からなる調査団を現地に派遣し、現地政府等に対して国際観光振興および我が国との国際観光交流促進のための具体的政策提言を行い、基礎的な情報収集をすることとしている。

1996年2月〜3月に西安及び蘭州、同年10月に河西回廊の現地調査を行い、1997年9月には新疆ウィグル自治区の調査を実施した。

中国におけるシルクロードは新疆ウィグル自治区において、天山山脈及びタクラマカン砂漠に遮られ、大きく天山北路、天山南路及び西域南路の3つに分岐している。

今回は、9月6日に北京を経由して空路昔の天山北路に位置するウルムチに入り、翌7日、ウルムチにおいてシルクロード観光促進セミナー「歴史資源の有効活用とその環境保全」が開催された。日曜日であるにもかかわらず、50名を越える現地の関係関係者が出席し、盛会であった。

セミナーの冒頭に、新疆ウィグル自治区旅游局長のナイーム・ヤシン氏より多くの歴史文化資源や自然資源が存在し、少数民族が集中していること、空港、鉄道、道路等の整備が進んでいること等自治区の観光事情についての紹介があった。

団長の樋口隆康氏は、日本においてシルクロードに対する関心は高いが、現在は年輩の旅行者が中心であるのを、若い人達にシルクロードを介した国際交流に深い関心を持ち、今日の国際交流において効果ある行動をしてもらうためにも是非旅行に来てもらいたいこと、絹、ガラス、葡萄、飛天等の文物を取り上げても東西交流の歴史がうかがわれること、遺跡というものは周囲の環境と併せて保存していくことが一番大切であること等について講演を行った。

副団長の新井佼一氏より、これまでの2回の中国のシルクロード旅行の調査をスライドを用いて紹介し、シルクロード旅行を取り巻く状況が、10数年前に調べたときは広大な地域に遺跡が散在し、空港、道路、宿泊施

 

 

 

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