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火。出火の可能性をあれこれ考えながら枯松を見分すると、出火点である先端部分にスーパーなどでよく使用されるラップやパック類の焼きしたものが付着している。同様のものが松の下にも落ちている。そして、住民からこのあたりでよくカラスを見かけることがあり、現にこの枯松の上に止まっているのを以前見かけたとの供述が得られた。

帰署後、県立博物館の学芸員や野鳥の会の会員に聞いたところ、「カラスは巣作りの材料として、合成樹脂類や針金ハンガーなど人工的なものを使う例がある。さらに、4月は巣作りの時期であることから、火種の残っていることに気がつかないで口にくわえた可能性もある。」との説明をうけた。表面は汚れているので収れんは考えにくい。

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これらの状況から、カラスが火種の残ったゴミを木の上に運び出火したものと推定して調査書を作成していた1ケ月後、偶然にも管内の他署で同様の事例が発生した。

住宅の屋根から煙が出ているとの通報で調査した結果、煙の正体は乾燥したカステラであった。今回は、カステラの横でカラスも目撃されている。おそらく、近くのゴミ焼きのゴミをくわえてきたのであろう。

巣作りのためかエサのためか、いずれにしてもこれでカラスの仕業に間違いなさそうである。

 

5 教訓

カラスはただものではない。都会ではゴミ箱をあさり、農村では作物を食い荒らす。昔から人間の嫌われもので不吉な鳥とされてきた。

しかし、カラスは他の鳥と違い非常に知能の高い鳥なのだそうだ。 一番の相違は学習能力が高いことで、これは未だ究極のカラス捕り器が発明されていないことでも証明される。古くはかかしに始まり、マイッタカー、トリクルナー、カラスニゲール、ブラサガラス等等。これまで考案されたカラス捕り器の名前の一部だそうだが、カラスと人間の歴史を感じさせる。

全国には、上空から貝を落として中身を食べたり、信号待ちの車の前にクルミを置いてひかせたりする天才カラスもいるそうである。

さて教訓である。カラスと人間の知恵くらべでは、カラスに軍配が上がりそうである。しかし火災予防の観点からいえば、ゴミ焼きをする時はカラスの視線に気を配ること。ゴミに食べかすでも混じっていれば最悪である。カラスは一度狙った獲物は逃さない。焼却が終われば完全消火して上に埋めるか、焼却炉の蓋をきちんち閉めること。

完璧である。マイッタカー!

(松本 昇司)

 

救急・救助

心肺蘇生法普及活動について

江刺市消防本部(岩手)

 

はじめに

江刺市は、岩手県の中南部に位置し、幹川流路延長249kmを有する北上川東岸から北上山系にかけてひらけた、面積360k?u、人口35,000人余りの田園文化都市である。

今からおよそ800年ほど前に、京都を凌ぐと言われる奥州平泉文化を誇った、藤原4

 

 

 

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