日本財団 図書館


ワンポイント

消防職員のための法令用語解説

 

不利益処分(2)

 

5 不利益処分をする場合の手続

 

不利益処分をする場合の手続については、行政手続法13条は、聴聞又は弁明の機会の付与について定めている。

そのうち聴聞は、不利益処分を受ける名あて人に対し、口頭による意見陳述、質問の機会を与え、名あて人と行政庁側とのやり取りを得て事実判断を行う行政手続である。

聴聞手続が必要なのは、

(1) 許認可を取り消す不利益処分。

(2) 名あて人の資格又は地位を直接に、はく奪する不利益処分(例えば、国籍喪失の宣告処分、法人の解散命令―解散命令によって解散するとの想定があるとき)。

(3) 名あて人が法人である場合には、その役員の解任を命ずる不利益処分、名あて人の業務に従事する者の解任を命ずる不利益処分(例えば、検査員等)、名あて人の会員の除名処分(例えば、商品取引所会員)。

(4) 行政庁が相当と認めたとき。

これに対して弁明の機会の付与は、処分の原因となる事実に関する意見陳述の機会を与える手続で、それは原則として書面による手続である。

弁明の機会の付与は、聴聞以外の不利益処分に適用される(例えば、業務適正命令、禁止命令、中止命令、廃止命令、閉鎖命令がある)。

 

6 聴聞、弁明の機会の付与手続の省略

 

次の場合には、聴聞又は弁明の機会の付与の手続は必要ない。

(1) 緊急処分(行政手続法―以下「法」という。13条2項1号)、災害対策上の処分はこれに該当する。

(2) 法令上必要とされる資格が不存在又は喪失した場合に、必ずすることとされている不利益処分で、資格の不存在又は喪失の事実が、客観的な資料により、直接証明される場合(法13条2項2号)。

(3) 技術的基準未達成による処分で、未達成が客観的に確認される場合(法13条2項3号)

(4) 金銭の納付命令、金銭の給付決定の取消し、その他の金銭の給付を制限する不利益処分をしようとする場合(法13条2項5号)。

(5) 義務内容が著しく軽微で、政令が定める処分をしようとする場合(法13条2項5号)。

法施行令2条により、証明訂正のための書類提出命令がこれにあたる。

 

7 聴聞手続

 

聴聞手続については、法13から25条に規定されている。

聴聞の通知、代理人、参加人、文書閲覧、聴聞主宰者、口頭による意見陳述、陳述書の提出、聴聞調書、報告書について定めている。

全消会顧問弁護士 木下 健治

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION