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◇大沢野町消防本部◇(富山)

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本年1月に発生した『ナホトカ号』油流出災害の影響で汚染が懸念されている゛日本海″(コバルトブルーの美しい海でした…)を右手に見ながら訪れたのは、『ほくほく線』の開通(4月)により、東京からの所要時間が大分短縮された富山県は『大沢野町消防本部』である。

大沢野町は、県の中南部に位置し、北は富山市、南は岐阜県と接している。旧飛騨街道沿いに町並みが発達し、町の中心を北陸と東海地方を結ぶ大動脈である国道41号線が縦貫している。管内面積74.66?u、人口約22,000人で、豊里かな自然環境を活かし『水と緑に囲まれた共感都市』を目指したまちづくりが進められている。

消防本部の発足は昭和42年4月、1本部・1署、中斉町長(消防長事務取扱)をはじめ23人の職員が、6分団、255人(うち女性15人)の消防団員とともに地域防災の中核として、さらには住民に親しまれる消防を目指して、日夜活躍している。

★広域再編の動き

県内では、5圏域が平成6、7年度にわたってモデル広域消防の指定を受け、広域再編へ向け始動している。

当本部も富山市を中心とした2市6町3村(地図:網かけ地域)の広域再編について『富山消防広域圏検討委員会』などで検討を進めている。中斉消防長は「地域の実情を踏まえ、″住民本位″を大前提に様々な問題に取り組んでいきたい」と、その基本姿勢を語られた。

★『ナホトカ号』油流出災害

福井県三国町の海岸沖で発生した『ナホトカ号』油流出災害に際し、当本部では、2月7日、職員5人、団員26人からなる応援隊を編成し、バケツ、竹べら、 ヘルメット等の資機材を積載した四tトラック及びマイクロバスにより三国町の災害現場に出動、重油の回収作業にあたった。出動した職員は、悪臭の漂う劣悪の環境下で懸命に作業にあたるボランティアの方々の姿を目の当たりにし、大規模災害時におけるボランティアの重要性を痛感したという。当本部では、今後、災害救援ボランティアの育成にも積極的に取り組んでいきたいとしている。

★救命率の向上を目指して

当本部では、救命率の向上を図るため、平成8年3月、高規格救急車を導入、運用を開始した。

現在、救急救命士1人を要し、さらに1人が資格取得に向け研修中である。また、16人が救急?U課程を修了しており、研修所の受入れ枠が拡がれば、1人でも多くの救命士を養成したいとの意向であり、財政面等で町部局のコンセンサスも得ている。

一方、町会、事業所等を単位とした応急手当講習会にも力を入れており、住民と一体となり、救命率の向上を目指している。

★消防職・団員合同綱引き大会

富山県では、職員間の親睦と体力増強を図ることを目的として、毎年、消防本部対抗綱引き大会が実施されている。因みに当本部は、平成元年、同大会で3位に入賞するなど健闘している。

また、当本部では、団員との融和協調を図ることを目的として、毎年、合同綱引き大会を開催している。チーム編成は、職員・団員が5人、女性団員は8人でそれぞれ1チームとし、本年2月に開催した大会では、女性団員チームを含め、本部、各分団から計15チームが参加、熱戦が繰り広げられた。今回は女性団員チームが3位入賞を果たすなど、日頃、女性ならではのソフトさを活かし、地域に根ざした高齢者家庭の防火指導等を精力的に実施しているパワーを大いに発揮した。(写真)

折しも、平成10年3月には、全国消防長会創立50年記念事業の一環として『全国消防職員綱引大会』が開催されるが、当本部をはじめ富山県勢の活躍が楽しみである。 (鈴木 浩永)

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