いし16ビートです。年配者に話すときは、ゆっくりと。若い人に話すときには、ビッチをあげてゆくという配慮がいるようです。でないと、スヤスヤと寝られてしまうからです。
7. 政治
してはいけない、ということではありませんが、対立を生みやすいですから、くれぐれも慎重にすすめてください。
8. 宗教
世界に目をむけてみてください。ありとあらゆるところで、紛争が展開されています。たいがいは、宗教と民族問題が結びついた殺りく行為です。いつになったら、解決するというのでしょうか。
宗教、それぞれは、基本的に悪いものではありません。人間にとって、必要不可欠なものかもしれません。しかし、それぞれが、独自のシンタックスをもつ以上、対立しますと、たいへんです。宗教を語られるのでしたら、どうか、気をつけてなさってください。
9. 勝ち負け
ひいきの引き倒しといいます。軽く考えないほうがいいです。これで、命を落す人がけっこういます。野球、サッカー、相撲などなどです。
他にもたくさんあると思いますが、こういった条件は、人ぞれぞれ違います。今後、こういったことを考慮にいれながら話をしていっていただきたいと思います。この判断ミスは、アトで、唇をかみしめるということにつながりかねません。
人を愛する気持
人前に出ると、アガッテしまうという悩みは、つねにつきまといます。アガッテ、当然とお考えください。世の中、アガラない人がいます。それは子どもと死人です。アガルということは、生きている証拠です。
聞き手をカボチャか石コロ、と思えと説く人がいます。果して、そうでしょうか。暴論です。話すことを仕事としているわたくしですが、実は、しょっちゅうアガッテいます。いろいろな方々を前にしているからです。面食うことだってあります。茫然自失することだってあります。しかし、最近では、そのような気持ちも解消されてきました。アガッタとき、心のなかで、あるコトバをつぶやいているからです。口に出せば、ちょっと恥しいのですが、心のなかでですから、できます。イヤだな、と思う聞き手に対してほどにです。ヘンジがあるかと言えば、決してありません。一方的です。自分の心の声が、自分で、自分にはねかえってきて、落着くのです。ほんとうに不思議です。
「好きだよ」
「嫌いじゃないよ」
「愛しているよ」
などとです。
心のヒダというヒダに、人々の安全を願って、キスの雨を降らせていく、それが、皆さまの話だと思います。命をかけてお仕事をなさっている皆さまのご活躍と話の成功をお祈りいたします。
えぎ もとひこ さん
1943年生れ。江戸ッ子五代目。暁星学園、早稲田大学を卒業。ソニー学園・湘北短大講師をへて、父親の江木武彦さんが、日本で最初に開いた「話し方教室」を継ぐ。東京、神楽坂で、「話し方教室」を主宰するとともに、全国各地で講演活動中。ときどき、消防大学校で講義をする。お父さま以来の人気講師です。著書では、「周囲をなごやかにする、ものの言い方」(明日香出版社)が、大好評で、すでに43刷を重ねています。