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年頭に当たって

平成10年の新春を迎えるに当たり、全国各地の消防・防火クラブの皆様並びに消防関係機関の皆様に謹んで新春のご挨拶を申し上げます。

また、常日頃から防火防災に心を配られ、火災のない安全な街づくりに、日夜ご努力されている皆様に心より敬意を表し感謝申し上げます。

私たち日本防火協会も、設立以来、一貫して防火思想の普及啓蒙を図るため、これまで様々な事業を実施してまいりました。特に幼年消防、少年消防、婦人防火クラブの民間防火組織拡大と育成振興に力を注いでまいりました。

奉仕の精神の大切さ、心の教育等々、当協会は従前からこれらのことを重要視し、幼少年教育を率先して心掛け、全国大会や地方大会を通じて、子供たちを逞しく育て、自立する心、他を思いやる心を培い、明日の日本を背負う人間形成に心掛けると共に、婦人の方々については、火を使う機会が比較的多いことから、家庭からの火災を無くすための防火思想の高揚、その組織づくりやその拡大のための施策等々、直接・間接に物心両面の事業の展開を図り社会に対する責任を担ってまいりました。

その結果、全国各地で幼年消防、少年消防、婦人防火クラブの組織が広がり、現在では、クラブ員数は約410万人に達する大きな組織に成長しております。

このように民間防火組織が大きく成長できましたのも、消防機関等関係者の皆様の並々ならぬご協力・ご支援があればこそ可能となったものであり、心から感謝申し上げます。

さて、昨年はナホトカ号などの海難事故による大規模な油流曲事故、7月梅雨前線豪雨災害、白糸トンネル崩落事故などが発生し、また今も記憶に新しい阪神・淡路大震災や地下鉄サリン事件のような従来にない特殊災害をはじめ、近年、著しい被害や社会的影響をもたらす災害や事故が続発いたしております。

このような中にあって、特に大災害時における、地域社会(コミユニティー)の自主防災組織の大切さ・重要性が問われております。

安全な生活、安全な地域社会の実現のためには、「自分達の地域は自分たちで守る。」という地域が一体となった消防防災体制が、欠くべからざるものであります。幼年消防・少年消防、婦人防火クラブそれぞれの組織の輪を更に広げるとともに、地域の自主防災組織づくりの育成強化が必要であります。

私たち日本防火協会も、自治体消防制度発足50年という節目の年に当たり全力をあげ、安全で住み良い、明るい街づくり・地域づくりのため、防火思想の更なる普及と民間防火組織の振興助成を通じ防火の認識と実践の強化に、努めていく所存でありますので皆様方の絶大なるご協力とご支援を賜りますようお願い申し上げます。

皆様方の今後益々のご健勝とご発展をお祈りいたしまして、年頭のご挨拶とさせていただきます。

 

 

 

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