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だろうか。きれいに拭き取ることがいいのだろうかということを,私たちは考えなければならないことではないかと思います。たとえば褥瘡をつくるといったことは,せっかく持っているバリアを壊していくことになろうかと思いますので,こういったことでケアを考えていくことが大切ではないかと思います。

□腔粘膜も感染リスクを高める行為として出したのですが,ほとんどの患者さんがこうしたリスクを負っているのではないかと思います。もともと持っている粘膜の機能を保つ方法でケアはできないだろうかと思います。口腔ケアといえばイソジンガーグル,皮膚を保護するといえばヒビテン浴といった発想がないだろうかということを考え直したいと思います。ケアの役割としては,人の防御機能の中の非特異防御機能,皮膚だとか粘膜が持っている防御機能をどう保つかということが大切な役割ではないかと思います。

図1は院内肺炎の発生機序を示したものです。肺炎を予防するということで,よく術後のケアプランの中に入っていたりしますが,外科の手術をしたからすべて肺炎のリスクが高いかというと,胸部とか食道の手術をした人にはリスクが高い。そうするとそこで観察事項は変わっていくと思います。寝たきりになって口腔内の微生物の層が変わってくるといったことが起こります。あとはネブライザーだとか呼吸器,酸素吸入といったものから汚染されたエアゾールから吸入されて肺炎を起こすということがあります。

こういったことを考えると,ただ漫然としていても肺炎予防,防止はできないと思うわけです。尿路感染を防止するときに,たとえば寝たきりの方をケアしたときにはおむつを当てているなら便が強アルカリ性になりますから,尿がアルカリに変化することによって感染を受けやすくしていくことがあります。そういったことを私たちが考えていく必要が

 

 

 

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