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義は大きい。また,海底で生成される“自生鉱物”として,電気石,海縁石,ある種の粘土鉱物などれっきとした海成鉱物さえ存在することを考えれば,周辺分野と考えるか隣接であるか,決めかねる分野とも言えそうである。

海洋をテーマにした文芸作品は多い。その点をふまえて,「海洋文学」を海洋科学の友人と見なすか,はたまた周辺事情として周辺あるいは関連分野,と言いはることもあり得よう。

天文学を周辺分野とみなすことは容易である。潮汐作用とかセーシが海洋科学での一つの分野たる潮汐学を形成するから,むしろ自明のことといっても過言でない。自然界の大きな広がりと,相関の多様性を示して余りある周辺分野扱いといえよう。

生物形態学を考えてみよう。海洋生物という大きな研究対象にとってその形態学は不可欠かつ最重要視されるランクと見なされよう。したがって,広義の生物形態学は立派な周辺科学分野である。生物を資源と見ての調理法をとり上げると,そこには栄養学は加工化学,保存科学等々がからんできて,それらを周辺分野と位置づける分野地図は,生活科学にとって極めて大切であるといえる。逆に,生活科学例の立場からしても,海洋科学が無視できぬ周辺科学となっていることも指摘できるのである。

 

4-3 海洋科学関連分野立体目次の拡張

今回の調査・研究でとり上げた海洋科学の内部分野や周辺・隣接・関連分野は,言うまでもなく網羅的ではない。立体目次作成上,そのプロトタイプ構築のモデルケースとしてとり上げているので,実情は現段階では全体像の一部である。

立体目次構想は,本来限定分野について立てられたものではない。汎用を前提にし,また学問分野というアイテムだけでもない用法を可能とする発想でつくられていることは言うまでもない。

立体目次的発想は,複雑系の問題解決に寄与する関連分野や担当部局,解決すべきアイテムの周辺事情等々,限りなく広い応用局面を内在するものである。海洋科学そのものの性格を活かす展開方向の一つとして,地球環境問題をターゲットにしてみることも可能である。

 

4-3-1 地球環境問題について

地球環境問題といえば,世界共通のグローバルな社会問題であるという理解は浸透していると思われているが,理念とは別に,個別の問題として挙げられるのは,いつも同じアイ

 

 

 

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