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6 統治機構

 

(1) 政体

中華民国憲法は1946年12月25日に制定され、1947年1月1日に公布、同年12月25日に施行された。中華民国憲法の特性は、国父孫文の三民主義に基づく民有、民治、民享を政治目標とし、人民には政府を管理する権利を持たせ、政府には国家を統治する権能を持たせるものである。すなわち、国家の権力を「政権」(人民の権力)と「治権」(政府の権力)に分けることである。具体的には政権は選挙権、罷免権、創制権、複決権を意味し、治権は通常の三権に加えて二権を加えて、立法権、行政権、司法権、考試権、監察権の五権を意味する。

上記を含め中華民国の政体の基本原理は以下の4つである。

?@主権在民 主権は国民全体に帰属する。

?A権能区分 国民大会は全国民を代表して政権を行使する。総統及び中央政府の五院(立法、行政、司法、考試、監察)は共同で治権を行使する。

?B五権分立 三権分立に、中国古来からの考試、監察制度を加え、五権分立を図る。

?C均権制度 中央と地方の権力バランスを意味し、全国的に統一的な性質を持つ事務の権限は中央に属し、地方に適した事務の権限は地方に属する。

(2) 国民大会

各県・市の代表、海外に居住する国民、職業団体や女性団体などごとに国民大会代表の選抜割当数が決まっており、選抜された代表から構成される。国民大会の代表は4年ごとに改選される。権限としては、かつては総統・副総統の選出も担っていたが、1994年の憲法改正以後は、憲法の改正、総統・副総統の弾劾審査、罷免案提出などが国民大会の権限となっている。

1996年に行われた第3期国民大会代表(定数334)の構成は、国民党183、民進党99、新党46、その他6となり、国民党が後退し、民進党と新党が議席を伸ばした。なお、1947年に中国大陸で選出された代表は、非常事態にあるという理由でその任期が継続されていたが、1993年までに大陸代表議員全員が退職した。

 

(3) 総統

元首として、台湾を代表する。総統の主な権限は次のとおり。

・ 軍の統帥

・ 法律の公布、命令の発布

・ 行政院院長をはじめとする閣僚の任命

・ 行政院院長が立法院により不信任されたときの立法院解散権

・ 条約締結、宣戦、講和

 

 

 

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