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ただし、人事委員会が審査機関の場合、人事委員会は審査決定後、首相の同意を得るためにその決定を回付しなければならない。首相が人事委員会の決定に同意できないときは、人事委員会は首相の意見に従うか、又は内閣に最終決定を求めることとなる。人事委員会の決定又は内閣の判定は行政部内においては最終のものであり、不服申立てをすることはできない(裁判所に提訴することはできる。)。

?A不当な措置に対する不服申立

職務に適していないなどの理由により解職された職員は、当該処分の日から30日以内に人事委員会に不服を申し立てることができる。また、上司など権限ある者から、法律に反する不当な扱いを受けたと思料する職員は、上司、各レベルの人事小委員会又は人事委員会に不服を申し立てることができる。

 

4 汚職防止機関

1975年に汚職防止取締法に基づいて首相府に汚職防止委員会が設置された。同委員会の職務は、

・ 政府職員(政治的任用職員は含まれない)の汚職防止取締方法を内閣に提案する。

・ 不正蓄財の疑いのある政府職員に資産公開を命じるように内閣に提案する。

・ 不正の調査を行う。

・ 不正や汚職を防止するために政府機関の執務方法や計画を見直すように内閣に提案する。

・ 同委員会の活動状況にコメントをつけて、毎年10月に首相、上院・下院議長に報告し、また、年次報告書を刊行する。

同委員会は、上記の任務を遂行するために小委員会を設置したり、政府職員に休職を命じたり、不正蓄財と判断したら、財産を没収したり、首相に当該職員の懲戒処分を求めたり、検察庁に報告することができる。また、同委員会は国民からの告発を受けて、調査することもある。同委員会の1997年度における職員数は311名となっている。

なお、新憲法下では新たな汚職防止委員会が設立され、政治家を含む公務員の汚職防止の任務を担うことになる。

 

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