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?Z 昇進格差

我が国における雇用の特徴とされていた終身雇用制や年功序列といった制度は、大部分の企業において見直され、新しい時代に対応できる制度(能力主義型制度)へと衣替えし、または検討されている。今後は、組織を構成する従業員一人一人の能力と資質の差が企業レベルの差となり、それが競争力の差となっていくことを考えると、従来の年功序列といった人事考課要素を個別能力重視のウエイトを高くする要素へと変更することが必要であろう。その一方策として昇進システムの検討が必要になり、実際に最初にどの職位・勤務年数の層で個別能力の評価(格差)が行われているかを調査してみた。

1.職位層別の昇進格差〔第84・85表参照〕

まず、職位別に調査してみた結果は、全体では最初に昇進差がつくのは「係長クラス」昇進時とする層が42.0%で最も高く、次いで「一般職員」の段階での昇進差が39.9%で、この両職位層内で8割方の企業が昇進格差(選別)を設けていた。これは後述の勤務年数別の昇進格差と見比べた場合、採用後10年未満で昇進格差を設けていた企業割合とほぼ合致する。

企業規模別では、「一般職員」の職位層で最初に昇進格差を設けているとする割合の最も高い規模を見ると、「5千人以上」で44.7%の企業が最初に昇進格差を設け、規模が小さくなる程「一般職員」の段階で昇進格差を行っている企業割合は低くなっている(「千人未満」が31.0%で、「5千人以上」の企業と13.7ポイント差)。また、「係長クラス」の職位層においても「千人未満」の企業が最も低い割合(35.7%、上位と16.1ポイント差)を示し、先の「一般職員」と同様の結果となった。

なお、このことは「千人未満」の企業にあっては、「課長代理クラス」以上の役職で最初に昇進格差を設ける企業割合が高くなることになり、実際、「課長代理クラス」で19.0%、「課長クラス」で13.1%と、全体の割合(「課長代理クラス」10.1%、「課長クラス」7.7%)より高い数値を示した。

産業別では、最初に昇進格差を設けているとする割合の最も高い職位層をみると、「一般職員」とする産業は、「電気・ガス・熱供給、水道業、サービス業」と「卸売・小売業、飲食店」(47.7%、

 

 

 

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