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3.給与項目別の増減状況〔第47・48表参照〕

(1)過去1年間の給与項目別の増減状況

昨年に引き続き、人件費総額のうち「給与」に限って給与項目別の増減状況を尋ねたところ330社から回答があった。まず、月給の主体をなす「基本給」が「増加した」企業割合は44.4%(昨年結果より4.8ポイント減)、「おおむね変わらない」42.5%(同7.5ポイント増)で「減少した」は13.1%で昨年の結果15.8%より2.7ポイント減と僅かながら減少している。「基本給」は過去1年間で「増加」も「減少」もともに減り、その分「変わらない」が増えた結果となった。「所定内手当」、「所定外手当」はともに「変わらない」が5割を超え、「増加」が「所定外」は31.2%(昨年比3.2ポイント増)となったが、「所定内」は16.7%(同1.3ポイント減)となっている。また、「賞与」の動向は「増加した」が35.6%(昨年比5.4ポイント増)、「減少した」が19.5%で昨年調査の27%より7.5ポイント減っており、給与を改善するならば柔軟性のある一時金で対処したものと思われる。なお、パート等に支払う賃金の「雑給」は、非常用雇用者の増加に伴い、「増加した」が35.8%(昨年23.5%、一昨年18.1%)で漸増している。

以上の調査結果は企業規模別、産業別にみても傾向として大きな相違はないが、ただ「金融・保険業、不動産業」は「基本給、所定内手当、賞与」の給与の中心をなす項目についての回答で「基本給」は「増加」10%に対し「減少」15%、「所定内手当」は同じく3%対20%、「賞与」は10%対28%と「減少した」企業が「増加した」よりかなり多く、現在この業界の置かれている厳しい経営環境を映し出しているものと思われる。

(2) 今後の給与項目別の増減方向

次いで、給与項目別の今後の増減方向についても尋ねてみた。経済の前途がきわめて不透明でさらに変動が予想される現在において、企業の担当者も回答には慎重にならざる得ないであろうが、回答のあった327社ではやはり各項目とも「おおむね変わらない方向」と予想する答が5割から7割の割合となっている。個々には「基本給」が「増加の方向」であるとする企業が35.6%あるが、これは給与制度上必然的に増加する部分があるためと思われる。その他の項目は「増加の方向」にあるとする企業は30%に満たない。また、前述した過去1年間の増減状況で各給与項目に「増加した」と答えた企業の割合と今後「増加の方向」とする企業の割合を比べるといずれも「増加の方向」の数字が低い(ちなみに昨年調査でも全く同じ傾向であった)。企業の人件費総額が全体として現状維持か増えてもごく僅かで、場合によっては総額が減るという状況のもとでは、これを構成する個々の給与項目も同様の動きをしていると言える。

なお、企業規模別、産業別にみても、2、3の例外はあるものの全体と変わらない傾向となっている。

 

 

 

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