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(1)過去1年間の非常用雇用者故の増減状況〔第29・30表参照〕

非常用雇用者を雇用調整の手段として使うことは昔も今も変わらないと思われるが、最近はいわゆる正社員削減の穴埋めとして非常用雇用者が有力な戦力として雇用されるケースが多くなっているのではないか。こういう観点から調査結果をみると、まず、この1年間に非常用雇用者を「増やした」と回答した企業は全体では29.3%(昨年比3.3ポイント増)、「減らした」と回答した企業は11.9%(同9.9ポイント減)、「おおむね変らない」は52.8%(同5.1ポイント増)となり約半数の企業が昨年と同じに雇用を維持し、「増やした」が「減らした」より17.4ポイント多くなっている。その他の調査項目「1年前はいたが現在はいない」0.6%、「もとからいない」5.4%をあわせても6%なので、この1年間で非常用雇用者の数はかなり増加していることが分かる。

ア.企業規模別

これを規模別に分解してみると、「増やした」と答えた企業は「千人未満」の22%(昨年19%)のほかはすべて3割台で、特に「5千人以上」が昨年の23%から33%と10ポイント増えたのが目立つ。また、「減らした」企業は各規模ともおおむね1割前後で昨年の2割台からかなり減っている。「おおむね変わらない」はすべて5割台であった。

イ.産業別

次に産業別にみてみると、様相は変わってくる。まず過去1年間に非常用雇用者を「増やした」と回答した企業で前年より割合が増えたのは「製造業」の26%(昨年比6ポイント増)、「電気・ガス・熟供給、水道業、サービス業」の24%(同4%増)で他の産業はいずれも僅かながら減少している。総計では昨年の割合より増加しているのは「製造業」のウエイト(335社中176社)が大きいためである。

また、「減らした」とする企業は「農林漁業、鉱業、建設業」が昨年より2ポイント増えただけでその他の産業は昨年より減っている。「増やした」と「減らした」を対比すると「農林漁業、鉱業、建設業」のみが「減らした」割合の方が高く、この中で多数を占める建設業の影響と思われる。

(2)非常用雇用者数の今後の増減方向〔第29・30表参照〕

企業が非常用雇用者を活用している状況は今までみてきたとおりであるが、ではこれからどのような方向へ進んでいくのかについても聞いてみた。その結果、「増やす方向」が25.4%、「圧縮必要」が17.5%で、昨年に比べそれぞれ5.1ポイント減、0.4ポイント減となっている。また、「おおむね変わらない」の現状維持は約半数の49.7%(昨年比3.3ポイント増)であった。これらの数値を前述の過去1年間の雇用の実態と総合してみると非常用雇用者の雇用もややゆるやかになったものの、今後も増加していくのではないかと感ぜられる。

ア.企業規模別

これを規模別にみてみると、昨年の結果では「増やす方向」がすべての規模で3割前後であったが、今年は「5千人以上」が35%と昨年より5ポイント多くなっただけで、他の規模は3割(「千

 

 

 

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