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3 給与項目別の増減状況

(1) 過去1年間の給与項目別の増減状況[第10表参照]

ア.昨年に引き続き、人件費総額のうち、「給与」に限り、給与項目別の増減状況を調査した。

まず、「基本給」については、過去1年間で「増加した」企業の割合は44.4%(昨年調査結果より4.8ポイント減)であったのに対し、「おおむね変わらない」42.5%(同7.5ポイント増)、「減少した」が13.1%(同2.7ポイント減)で増と減の差は31.3ポイントの増(昨年の差は33.4ポイントの増)となったものの、「変わらない」と「減少」を合わせると5割を超え増加といっても微々たるものであろう。

イ.次に「所定内手当」では「変わらない」とする企業が7割を超え昨年調査より僅かながら増加した。「増加した」は16.7%(前年比1.3ポイント減)、「減少した」は12.7%(同1.4ポイント減)で増加と減少の差は4ポイント(昨年は3.9ポイント)で、前年から殆ど停滞したままである。「所定外手当」は「増加した」31.2%(昨年28%)、「減少した」17.3%(同23.8%)で幾分増える方向にあるが、「おおむね変わらない」が半数あるので全体としてみれば動きはないといえる。さらに、「賞与」は「おおむね変わらない」と現状維持の回答が半数近い約45%(昨年は42.1%)あったが、一方、「増加した」が35.6%(同30.2%)、「減少した」が19.5%(同27%)と増加した企業が減少した企業よりかなり多くなっており(今回と昨年の増減の乖離が大きくなっている)、固定費となる「基本給」より「賞与」で対応する傾向がうかがえる。前述した人件費総額の動向からは、過去1年間あまり大きな変化はなかったと述べたが、給与項目別に見たところでは賞与の増加が見うけられ、また、後述の従業員の賃金格差に注目すると、人件費総額は変化はないものの、その中での配分については相応な変動の傾向が認められる。

なお、パート等に支給する「雑給」は非常用雇用者が増える傾向にあることから「増加した」が35.8%(昨年比12.3ポイント増)に対し「減少した」は7.9%(同4.6ポイント減)で増加の方向が強まっているようである。

(2) 今後の給与項目別の増減方向[第10表参照]

ア.過去1年間の給与項目別の増減状況は以上のとおりであったが、経済情勢が混迷を極めるなか、今後の個々の給与項目についての対応を調査してみた。

全体として「おおむね変わらない方向」とする回答が5割から7割台と先行きのわからない景気動向から慎重にならざるを得ない様子が見える。その中で唯一「基本給」は「増加の方向」との回答が35.6%(昨年37.8%)と2.2ポイントの減少傾向を見せてはいるものの、昨年と同様3割を超えていることは、給与制度上の必要からと考えられる。

イ.「所定内手当」は「増加の方向」13.5%、「減少の方向」11.9%でほぼ見合い、「おおむね変わらない方向」が約75%もあることから今後も変化はないといえる。「所定外手当」は「増加の方向」とした企業が9%に対し「減少の方向」は26.3%に及び残業等の規制等が今後一層進むと予想される。さらに「賞与」は景気の影響をもろに受ける給与であるところから「おおむ

 

 

 

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